【医師コメントつき】薄毛対策にはお茶が良い? 種類で異なるお茶の育毛効果とは
私たちが普段からよく飲んでいるお茶。健康のために飲むことはあっても、髪の毛に良いという理由で飲んでいる方は少ないのではないでしょうか。しかし種類によっては、髪の毛にも良い影響を与える成分を含むお茶があります。
今回のAGAタイムスでは、育毛環境を整えるのにおすすめなお茶の種類とその効果についてご紹介します。
育毛に効果的なお茶①:緑茶
◯緑茶カテキンによる主な育毛効果
緑茶に含まれる成分の中で体に良いといわれている成分が「カテキン」です。カテキンは80種類からなる成分群を指しますが、中でも「EGCg(エピガロカテキンガレート)」と呼ばれるカテキンには、5αリダクターゼという還元酵素の生成を抑制する効果があることが分かっています。
5αリダクターゼは男性ホルモンの一種であるテストステロンと結びつくことで、AGA(男性型脱毛症)の大きな原因とされているジヒドロテストステロン(DHT)を作ります。しかしカテキンの効果により5αリダクターゼの生成をある程度抑制できるため、それに伴い薄毛の原因であるDHTの生成も抑制できると考えられます。またEGCgには、毛乳頭細胞の増殖を促進させる作用があるという研究結果もあります。
ほかにも、カテキンは優れた抗酸化作用を持っています。抗酸化作用とは、体内に増えすぎた活性酸素を除去して組織の老化を緩和する働きのこと。活性酸素は酸化力が強く殺菌効果もあり、体内に入った細菌を除去する作用を持つ物質です。体内の活性酸素の量が正常である場合は別段問題になりませんが、活性酸素が増えすぎるとSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という酵素による消去作用が追いつかず、体内のあらゆるものを酸化・老化させてしまいます。
この作用によって、髪の毛の成長を促す毛母細胞をも老化させる恐れがあるため、カテキンの抗酸化作用はこれらの影響を防ぎ、正常な育毛を促すことに繋がると考えられるのです。
最近では緑茶の殺菌効果を期待して、飲むだけでなくシャンプー習慣に取り入れる方もいるようです。シャンプーの後の頭皮に直接緑茶をかけることで余分な皮脂を除去し、頭皮環境をより清潔に保ちやすくすると考えているようです。
緑茶に含まれるカテキンには、このほかにも育毛をサポートする効果があります。詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひあわせてご一読ください。
育毛に効果的なお茶②:ウーロン茶
◯ウーロン茶に含まれる高分子ポリフェノールの主な育毛効果
ウーロン茶と緑茶は同じ茶葉を用いるため、もちろんカテキンを含みます。しかし、緑茶は製造工程の初期段階(蒸熱)で酸化酵素の働きを止めるため、カテキンの重合はほとんど起こらずカテキン類は減少しないのに対し、ウーロン茶を含む中国茶や紅茶などは酸化酵素の働きで茶葉中の成分を変化させて、独特の風味や香味を生み出します。したがって、カテキンが重合により「高分子ポリフェノール」に変化することでカテキンの割合が減少するのです。
では、緑茶カテキンが持つような効果は期待できないのかというと、一概にそうともいえません。カテキンから変化した高分子ポリフェノールは、カテキンと同じような活性を持っているため総合的には緑茶やウーロン茶、紅茶などの活性は同等であると考えられます。
高分子ポリフェノールは中性脂肪の低下や活性酸素の除去などの機能性が注目されており、ウーロン茶も緑茶と同様に抗酸化作用が見込めます。また、とある研究ではBMIが高いほどAGAを有する男性、とくに早期発症型AGAを有する男性における脱毛の重症度が有意に関連していたという報告があります。この点においても、高分子ポリフェノールが中性脂肪の低下を促し、適切な育毛環境を整えるための助けとなる可能性があります。
それだけでなく、2016年3月に開催された日本薬学会第136年会においては「ウーロン茶エキスにはⅠ型およびⅡ型の5αリダクターゼを阻害し、育毛を促進させる効果がある」と発表されました。ただし、この発表は茶葉から抽出したものを患部に塗布した際の効果であり、烏龍茶を飲むことで同様の効果が得られるというわけではありません。実験もマウスを使用したもので人間への臨床試験は行なっていないため、人間のAGAにどの程度の効果があるかは今後の研究次第といえるでしょう。
ウーロン茶エキスが持つAGAへの作用について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひあわせてご一読ください。
育毛に効果的なお茶③:抹茶
◯抹茶の育毛効果
緑茶の仲間である抹茶も、カテキンなどを含む「ポリフェノール」が豊富に含まれています。その量はなんと一般的な緑茶の約2倍といわれており、これはコーヒーや赤ワインと同等の量になります。抹茶は茶葉の新芽を揉まずに乾燥させた碾茶(てんちゃ)を微粉末にしたものなので茶葉自体の栄養を含んでおり、緑茶など茶葉からのお湯で抽出して飲むお茶よりも多くの成分を摂取できるのです。
豊富に含まれたポリフェノールの抗酸化作用によって髪の毛の成長を促す毛母細胞の酸化を穏やかにし、正常な育毛を促してくれる可能性が考えられます。
ポリフェノールは水に溶けやすい性質なので比較的短時間で作用しますが、効果が長期間持続しないため、こまめな摂取が必要といわれています。ポリフェノールの恩恵をしっかりと受けるためには、習慣的に摂取することが重要です。
そのほかにも、良質な抹茶は「アルギニン」や「テアニン」などのアミノ酸も含まれています。アルギニンは免疫力の向上や疲労回復のサポート、血管拡張による生活習慣病の予防やアミノ酸不足による皮膚バリア低下の予防などに役立つといわれています。
また、テアニンはストレスの軽減効果が期待できるとされているため、良質な抹茶を飲むことであらゆる面から体をケアし、育毛に適した健やかな土壌づくりにつながることが期待できます。
お茶でポリフェノールを摂取するのであれば、ごぼう茶もおすすめです。ごぼう茶の原料はごぼうの皮を乾燥させたもので、サポニンというポリフェノールが多く含まれています。ポリフェノールはごぼうの灰汁の主成分であり、強い抗酸化力によって癌細胞の発生や老化を抑制する効果の可能性が注目されています。
抹茶が苦手な方や毎日抹茶を飲むのは飽きてしまいそうだという方は、ごぼう茶を活用してみるのもよいでしょう。また、ごぼう茶はカフェインレスなのでなるべくカフェイン摂取を避けたい方にもおすすめできます。
育毛に効果的なお茶④:陳皮茶
◯陳皮茶(チンピ茶)の育毛効果
陳皮茶は、ミカンの皮を乾燥させてお茶にしたものです。ミカンの皮に含まれる香り成分「リモネン」は髪の毛の成長を阻害し、抜け毛の原因となる5αリダクターゼの働きを抑制するといわれています。またリモネンには頭皮に詰まった油や汚れを取り除きフケや痒みを抑える抗菌作用や、髪の毛にツヤを与える働きもあるため、育毛に適した頭皮環境を整えて抜け毛を予防する働きが期待できます。
またミカンの皮には豊富なビタミンCが含まれています。ビタミンCは肌の弾力や再生力に影響を及ぼすコラーゲンの生成に欠かせない化合物です。コラーゲンは発毛に関わる毛包幹細胞を維持するために不可欠といわれているため、このような観点からも陳皮茶の育毛効果が期待できるでしょう。
さらにリモネンは交感神経を刺激して血行を促し、体内の代謝や消化活動を活発にする効果があるとされています。正常な血流や体内活動をサポートすることによって、髪の毛に栄養が行き渡りやすくなる作用が期待できます。また、リモネンが体内に吸収されると脳内でリラックス時に出現するα波がでることから、リラックス効果があるともいわれており、健やかな頭皮環境の大敵であるストレスを和らげるためにも役立つことが考えられるでしょう。
経口摂取による効果ではありませんが、リモネンには円形脱毛症の予防にも効果が期待できるといわれています。
ある研究では、円形脱毛症ラットを対象にシクロスポリン0.5%とリモネンなどの精油成分を6週間にわたり塗布したところ、毛髪の再生が確認されました。このことから、リモネンには円形脱毛症に対する予防効果が期待されています。ヒトへの影響については、今後の展望に期待したいところです。
お茶の効果で健やかな育毛環境を整える
この記事でご紹介したお茶には、それぞれ育毛環境を整えるために必要と考えられる成分が含まれています。その成分の違いによって得られる効果も異なるので、それぞれの目的に応じたお茶を選ぶとよいでしょう。ただし、お茶を飲むだけで既に発現している薄毛が治ったり、髪の毛が増えたりするわけではないので過度な期待は禁物です。
しっかりと薄毛を克服したいとお考えの場合は、まずAGA・薄毛治療専門の病院に相談するのがおすすめです。お茶を日々の健康習慣として取り入れつつ、適切な治療を受けて一刻も早い原状回復に励みましょう。
AGAヘアクリニックは、AGA治療専門の病院です。豊富な薄毛の知識と多くの症例をもとに薄毛の原因を導き出し、患者様一人ひとりの症状に合った最善の治療をご提案しています。また全室個室の診察室を完備しており、完全予約制なので他の患者様と顔を合わせることがほとんどありません。診察や相談は初診に限らず何度でも無料で行なっておりますので、薄毛が少しでも気になる方は、ぜひお気軽にご相談にお越しください。
出典・参考URL
- カテキンの秘めたるパワー - 明治薬科大学
- カテキンのいろは - 日本カテキン学会
- 中国茶(烏龍茶)、紅茶の成分と効果・効能 - 伊藤園
- 緑茶、紅茶、ウーロン茶に含まれているカテキンはそれぞれ違うものですか? - 日本カテキン学会
- 食品加工中におけるポリフェノールの化学変化ウーロン茶ポリフェノールの解明を目指して - 岐阜大学大学院連合農学研究科
- 高体格指数は、台湾における男性型男性ホルモン性脱毛症の男性における脱毛症の重症度の上昇と関連している - 横断研究
- ウーロン茶に男性ホルモン抑制作用 - 株式会社毛髪クリニック リーブ21
- 抹茶と一般的な煎茶の違いは - ネスレ
- ポリフェノールの種類と効果と摂取量 - 公益社団法人長寿科学振興財団
- 抹茶の品質と機能 - 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門
- 健康維持を支えるアミノ酸、アルギニンってなに? - グリコ
- ストレスから脳を守るテアニンの役割 - 静岡大学薬学部
- ごぼう茶摂取がラットの血糖値と血清及び肝臓の脂質含量に及ぼす影響 - 食文化研究 = FOOD CULTURE RESEARCH
- リモネン - わかさ生活
- ビタミンCの働きと1日の摂取量 - 公益財団法人長寿科学振興財団
- シクロスポリンA脂質小胞を使用したDEBRモデルにおける円形脱毛症の治療 - National Library of Medicine
- 「リモネン」の効果や活用法 - 伊藤農園