【医師コメントつき】AGAだけではない。年代別に考える脱毛の種類
年齢を問わず深刻な悩みになりかねない薄毛。薄毛が最も多いのは成人男性であり、その大半が「AGA(男性型脱毛症)」といわれています。しかし脱毛疾患はAGAだけに限らず、女性でも発症する疾患や、乳幼児・10代などの若年層で発症する脱毛疾患も存在します。遺伝子レベルで将来疾患を罹患するリスクを把握できるようになってきましたが、現在の医学では“いつどの脱毛症が発症するか”というところまでは予想はできません。しかしながら、脱毛症ごとに好発年齢があります。今回のAGAタイムスでは罹患率の高い脱毛症の種類を年代別にご紹介します。
新生児〜10代に多く見られる脱毛
新生児や10代では男性ホルモンの分泌異常がない限り、AGAを発症する恐れはありません。しかし、AGA以外の脱毛が起こる可能性はあります。新生児や10代で起こりうる脱毛は遺伝的な要因や生理的な脱毛が原因の場合が多いと考えられています。
- ◯新生児脱毛
- 毛包は胎児期に皮膚が陥入して生成され、生後7〜9カ月頃には髪の毛が生え変わります。しかし後頭部の髪の毛は生まれてすぐに髪の毛の成長が停止して脱毛する「休止期」に入ります。この影響から髪の毛が枕や布団などとの摩擦により抜け落ちることがあります。このような脱毛を新生児脱毛といいますが、脱毛は生後1歳未満の新生児特有の一時的なものであり、病的な症状ではありません。
- ◯トリコチロマニア(抜毛症)
- トリコチロマニアは自身で自らの髪の毛を抜いてしまう脱毛症で、小児から10代、特に女児に多く認められます。抜毛症は髪の毛を抜きたいという衝動を抑えきれず抜毛してしまうケースがほとんどですが、中には睡眠時など無意識のうちに自身の髪の毛を抜毛してしまうケースもあります。また髪の毛を抜くことで痛みよりも快感を感じることが多いため、日常的に髪の毛を抜いてしまう特徴もみられます。
- トリコチロマニアの発症原因は未だ明らかになっておらず、以前までは「トリコチロマニアは単なる癖である」と考えられていました。しかし現在では家庭や学校、人間関係などのストレスから、自らの髪の毛を抜いてしまう可能性が指摘されています。症状の改善には心理学的アプローチが必要だと考えられています。
- ◯円形脱毛症
- 円形脱毛症は小児や10代の若年層でも起こる脱毛疾患の一つです。円形脱毛症は毛包組織に対する自己免疫疾患が主な原因と考えられており、何かしらの原因をきっかけとして引き起こされるといわれています。実際に円形脱毛症の家族歴がある人は、家族歴がない人に比べて発症率が高いことがわかっています。しかし現在でもはっきりとした病因は明らかになっていません。
- 小児や10代などの若年層で脱毛が生じる原因として、遺伝的要因や感染症などが考えられます。遺伝的要因の一例として、基礎疾患にアトピー疾患があると円形脱毛症を発症した場合に重症化のリスクがあることがわかっています。意思表示ができない年齢で発症した場合は、親が子供の頭髪をこまめにチェックしたり日頃から枕に落ちる抜け毛を注視したりして観察することが早期発見につながる重要なポイントといえるでしょう。
- ◯頭部白癬(はくせん)症による脱毛
- 頭部白癬症は「皮膚糸状菌という真菌が毛髪に寄生した状態」と定義されている頭部疾患です。小児の場合は畳やマットなどから手に付着した菌が頭皮へ感染してしまうことで発症することがあります。白癬による脱毛は円形に髪の毛が脱落する場合が多いですが、境界が不明瞭な脱毛を生じることもあります。
- 犬や猫を買っている場合、主に犬や猫に住みつく菌の一種「Microsporum canis(ミクロスポルムカニス、イヌ小胞子菌)」によって頭部白癬を発症し脱毛症状を呈することもあります。真菌による脱毛は自覚症状がなく気付きにくい場合もあるため、早めに病院へ行き治療を受けることが大切です。
20代〜30代に多く見られる脱毛
- ◯AGA
- AGAは成人男性に多いといわれている脱毛疾患です。特に壮年期に多いとされていますが、20代の若い世代でも発症する可能性があります。AGAの治療には、内服および外用療法が一般的ですが、発症してから早期に治療を開始した方が治療の有効性が高いことがわかっています。少しでも抜け毛が気になり始めた場合や将来の薄毛が心配な場合には、一度AGA治療専門クリニックなどで診察を受けてみるとよいでしょう。
- ◯産後脱毛
- 女性は出産後、抜け毛が増加することがあります。これは妊娠中、エストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンが活発に分泌されることで高く保たれていた血中濃度が出産によって急激に減少するためです。エストロゲンは、ヘアサイクルの成長期を延長することで知られており、エストロゲンが急激に低下したことで成長期にあった毛髪が一気に休止期に移行します。このことから産後脱毛は「急性休止期脱毛」に分類されます。
- 産後脱毛は発症しても6カ月から1年程度で自然に改善することがほとんどです。しかし、両親にAGAの遺伝的要因があると産後脱毛が進行するリスクが懸念されます。また、1年後には治ると言われても、1年間薄毛で悩み、抜け毛の増加を気にかける心理状況は、子育てにおけるストレスと重なり産後うつ発症の恐れもあります。薄毛や抜け毛が気になるようでしたら薄毛治療専門のクリニックなどで医師に相談してみることをお勧めします。一概にはいえませんが、一般的に20代〜30代は出産の経験をする人が多い年代といえるため産後脱毛の症状があらわれる可能性も高くなるでしょう。
- ◯栄養不足による脱毛
- 重度の栄養不足は脱毛を引き起こす恐れがあります。特に過度なダイエットなどにより亜鉛欠乏症を引き起こした場合、脱毛が生じる可能性があります。また体内の栄養が極端に偏ったり十分に補われなかったりする場合も育毛が妨げられる可能性があるため、美容やファッションに力を注ぎ無理なダイエットをしがちな20代、30代の層は栄養バランスの偏りに気をつけた方がよいでしょう。
- ◯円形脱毛症
- 円形脱毛症は年齢に関係なく発症の可能性があり、前述のように主な要因が自己免疫異常だと考えられています。また、自己免疫異常が発症するきっかけにはストレスが関与しているとされています。特に20代前半など社会に出たばかりの年代は新しい環境や会社生活によって過度にストレスを感じ、自律神経が乱れやすくなることがあります。また30代でも結婚や出産など新しい家族との家庭環境や周囲の人間関係などが要因となり不安やストレスなどを感じ、自律神経が乱れる可能性も考えられます。このように円形脱毛症は小児や10代だけでなく20代〜30代の働き盛りや環境が変わりやすい年代にも発症する可能性があります。
- ◯粃糠性(ひこうせい)脱毛症
- フケに脱毛が合併したものを粃糠性脱毛症といいます。粃糠性脱毛症は、頭皮に炎症などが起きることによってフケが生じ、その結果抜け毛を引き起こします。フケが生じる要因は様々ですが、過剰なシャンプーや洗い流しが不十分であることなどもフケが発生しやすくなる原因です。仕事やプライベートが充実し始める20代〜30代の層では、エチケットとして1日に数回シャンプーをする人も少なくないでしょう。しかし洗いすぎは頭皮の乾燥を招く恐れがあるため注意が必要です。
- ◯脂漏性(しろうせい)皮膚炎に伴う脱毛
- 脂漏性皮膚炎とは皮脂が過度に分泌されて炎症を起こしてしまう疾患です。頭皮に生じる脂漏性皮膚炎の場合には、常在菌であるマラセチア菌が異常繁殖することも脂漏性皮膚炎の原因の一つと考えられています。頭部に脂漏性皮膚炎が生じるとフケが発生したり頭皮環境が悪化したりして、抜け毛を引き起こします。特に20代〜30代の男性は皮脂分泌量が多くなる年代のため、食生活の乱れや運動不足など様々な生活要因によっても皮脂の分泌が過剰に亢進するため、日頃からしっかりとケアをしておくことが大切だといえるでしょう。
40代〜50代に多く見られる脱毛
- ◯AGA
- 成人男性の薄毛が生じる原因疾患として最多のAGAは主に男性ホルモンに起因します。男性ホルモンの影響でヘアサイクルが乱れ、抜け毛が生じる疾患です。前述の通りAGAの好発年齢は40〜50代の壮年期です。「髪が薄くなった」「毛量が確実に減っている」と感じる場合には既にAGAを発症しているかもしれません。AGAは早期治療が有効だと考えられていますが、40代や50代でも治療は可能です。少しでも薄毛や抜け毛に気付いたら一度AGA治療専門クリニックなどに診察へ行ってみるとよいでしょう。
- ◯びまん性脱毛(FAGA・FPHLなど)
- びまん性脱毛とは頭部全体の毛量が減少する脱毛のことをいいます。びまん性脱毛を起こす疾患は様々です。甲状腺ホルモンが過剰分泌される甲状腺機能亢進症や、亜鉛欠乏、女性に多い鉄欠乏性貧血などが挙げられます。びまん性脱毛は女性に多く、その大半がFPHL(女性型脱毛症)です。FPHLの発症機序は未だに解明されていませんが、女性ホルモンが影響すると考えられています。40代を過ぎると閉経など身体に大きな変化があらわれ、その際にホルモンの分泌量が低下します。そのため40代〜50代ではFPHLを発症する可能性も高くなると考えられています。
- びまん性脱毛、特にFPHLなど女性の薄毛もAGA治療専門クリニックで治療が可能です。薄毛や頭部全体のボリュームダウン、抜け毛が気になる場合は医師に相談してみましょう。
- ◯円形脱毛症
- 仕事での立場や将来の不安など様々なストレスがかかりやすい40代〜50代の世代でも、円形脱毛症を発症することがあります。自律神経を乱すストレスは髪の毛にも健康にも悪影響を与える可能性があるため、時には休息やリフレッシュするなどしてストレスを溜めないよう心がけるとよいでしょう。
- ◯脂漏性脱毛
- 皮脂の分泌量は30代が最も多いとされていますが、40代でも皮脂が過剰に分泌されている場合があります。皮脂の過剰分泌により脂漏性皮膚炎を起こし抜け毛につながることもあるため、頭皮がベタつきやすい人は日頃から頭皮のケアを行いましょう。
- ◯AGA
- 60代以降でもAGAを発症する可能性は考えられますが、発症年齢が遅くてもヘアサイクルが終了していないれば薄毛治療による改善が見込めます。60代を超えて初めて薄毛が気になってきた方も、一度AGA治療専門クリニックで診察を受けてみることをお勧めします。
- ◯びまん性脱毛症(FAGA・FPHLなど)
- 女性は閉経を迎えると女性ホルモンであるエストロゲンが急激に低下します。60代以降は一般的に閉経を迎えている年代でありホルモンバランスが変化しているため、FPHLのようなびまん性脱毛症を発症する可能性が高くなることが考えられます。
- ◯瘢痕(はんこん)性脱毛症
- 瘢痕性脱毛症は膠原病(こうげんびょう)のような疾患が原因で頭皮の瘢痕化が起こり発症する場合や、怪我や火傷などの外傷によって毛包自体が破壊され瘢痕化する外的要因によるものがあります。瘢痕性脱毛症では毛根が破壊されてしまうため、瘢痕化が起こった箇所から髪の毛が再生することはほとんどないと考えられています。しかし最近では瘢痕性脱毛症に対する様々な研究が進められており、毛根を移植することで瘢痕部位の発毛が認められる場合があります。脱毛の原因によって施す治療が異なるため、瘢痕性脱毛症の疑いがある場合は医師に相談し的確な治療を進めていくとよいでしょう。
- ◯牽引(けんいん)性脱毛症
- 牽引性脱毛症は牽引による頭皮への負荷で抜け毛が起こる脱毛症です。ポニーテールやエクステなど髪の毛を引っ張って頭皮に負荷をかけるような髪型を長期間続けると、頭皮に血行不良を招く恐れがあるため牽引性脱毛症を発症することがあります。この牽引性脱毛症の原因は外的要因であるため年代や性別を問わず起こる可能性があります。
60代以上に多く見られる脱毛
年代を問わず外的要因などで起こる脱毛
内因性脱毛疾患は好発年齢がある疾患もありますが、外的要因による脱毛症は年代に関係なく発症する可能性があります。
AGAの場合は早期治療が有効
脱毛の発症原因は様々ですが、どの脱毛でも早めの治療が大切です。特にヘアサイクルの寿命が関わるAGAは早期の治療が有効とされているため、薄毛や抜け毛が気になる場合は20代などの若年層でも早めに医師の診察を受けることをお勧めします。
AGAヘアクリニック(以下、当院)では、男性のAGAだけでなく、女性の薄毛の治療にも対応しています。医師による診察や相談は無料で行っておりますので、抜け毛や薄毛にお悩みの方はぜひ一度、当院の診察にお越しください。