【医師が教える】レーザーで薄毛治療? 「LLLT(Low level laser therapy)」の育毛効果を解説
薄毛には様々な治療法があるとされており、最近では光を使用した治療が育毛に作用するという研究結果が出てきています。光を使用した治療法には様々な種類が存在しますが、中でも育毛に効果があるとされる「低出力レーザー治療」はFDA(アメリカ食品医薬品局)にも認可されており、アメリカでは家庭用の低出力レーザー育毛器が販売されているほど浸透している治療法です。
また一方では、赤色LEDを使用した育毛効果の研究も進められており、まだ医学的な薄毛治療法としては確立されていないものの、今後の更なる研究には期待が持てるとされています。
そこで今回のAGAタイムスでは、光を使用した薄毛治療の中から、主にレーザー照射による育毛効果についてくわしく解説していきます。
薄毛を改善する「低出力レーザー」とは
レーザーには様々な種類があります。一般的に知られているレーザーメスやレーザーガンは、核融合や組織を焼く際に使用され、人体に何らかの影響を及ぼす威力があるとされる「高出力レーザー」です。
一方で薄毛改善に用いられるレーザーは、出力数が非常に弱い「低出力レーザー」です。低出力レーザー治療は「LLLT(Low level laser therapy)」とも呼ばれており、薄毛治療以外にも様々な医療に応用され、鎮痛などの用途においても実績があります。
低出力レーザーによる薄毛治療の具体的な効果は、低出力レーザーを頭皮に照射することによって血行を促進させると同時に、毛母細胞の活動を活性化させることです。低出力レーザーによる育毛効果は医学的にも証明されており、薄毛治療としても確立した治療法になりつつあります。
FDAに認可された低出力レーザー治療「LLLT」
薄毛の低出力レーザー治療がアメリカで周知されている理由は、FDA(※)認可の実績と副作用が極めて少ないという二つの点です。FDAはこれまでに薄毛改善が期待できる治療薬としてミノキシジルの外用薬「ロゲイン®」などを認可してきました。世界的にも信頼性の高いFDAが認めた成分は非常に少ないため、現在ではこちらが薄毛治療の主要薬剤となっています。
※アメリカ食品医薬品局。アメリカ合衆国保健福祉省配下の政府機関。
そして、薬剤の他にFDAが十数年前に認めた治療方法のひとつに低出力レーザー治療があります。国内ではあまり馴染みがないかもしれませんが、海外では広く知られている薄毛治療法の一種です。
また一般的に発毛や薄毛改善に効果があるといわれるフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルには副作用のリスクがあります。どの副作用についても発症は極稀とされていますが、湿疹やかぶれなどといった軽度なものから、内臓機能の障害、男性機能の低下などといった重篤なものまであります。薄毛治療に限らず、医薬品はその効果の大きさ故に使用する場合には少なからずリスクが伴いますが、その反面低出力レーザー治療はそれらに比べ効果も比較的穏やかであるため副作用のリスクが少ないといえるでしょう。
赤色LEDと育毛の関係
海外では低出力レーザー治療が広く知られている中、日本では「赤色LED」を使用した育毛効果の研究が進められています。ここではマウスを使った赤色LEDの実験結果についてご紹介します。
- ヘアサイクルが休止期に入っている複数のマウスの背中の毛を剃り、それをLED光を照射するグループと照射しないグループにわけて実験。2~3日おきに週3回程度のペースでLEDの照射を行う
- 照射を続けて18日後と22日後に毛の成長面積を比較したところ、LEDを照射していないマウスに比べてLEDを照射したマウスの毛の成長面積が増加していた
- 別の実験では、培養したヒトの毛乳頭細胞にLEDの照射を行ったところ、いくつかの種類の成長因子の増加が認められた
【実験概要】
このように、赤色LEDに育毛促進において効果を示しました。ただし、これらは臨床実験のデータではないためヒトへの効果の確証は得られません。しかし、少なくとも育毛効果の可能性がみられたことは確かといえるでしょう。実際に薄毛治療に用いられるまでにはまだ時間を要しますが、今後の発展が期待されます。
低出力レーザー育毛器は個人での購入も可能
FDAに認可された低出力レーザー育毛器の中には、家庭用に作られ一般販売されているものもあり、誰でもFDA認可の低出力レーザー育毛器を購入することができます。もちろん、薄毛治療専門のクリニックでもレーザー治療を受けられますが、クリニックなどでレーザー治療を受けると1照射あたりで費用が発生する場合もあるため、治療が長期間に渡るほど金銭的な負担が大きくなる可能性があります。価格や通院不要の手軽さを考慮するならば、家庭用低出力レーザー育毛器を用いるほうがよいでしょう。
家庭用のレーザー育毛器は色々なタイプのものが販売されており、比較的安価ものから高額なものまで価格帯も様々です。また、頭にかぶせるだけのヘアバンド型のものや帽子型のもの、ブラシ型で頭部を撫でるようにして使用するものなど形状も多様であるため、ライフスタイルに合わせて使いやすいものが選べます。
一般販売されている家庭用の低出力レーザー育毛器は効果が懸念されがちですが、臨床実験の結果をみる限り、効果が実証されたFDA認可の機器を正しく継続使用していけば育毛効果を期待できるでしょう。一方、FDA認可を得ていない家庭用レーザー育毛器は効果の根拠が乏しく美容機器扱いになるため、購入をご検討の際はFDA認可製品の選択をおすすめします。
薄毛のお悩みはまず専門クリニックへ
薄毛が気になり、ひとまず何か対処法はないかと模索している中で低出力レーザー治療を見つけた方も少なくないでしょう。成人男性の場合、薄毛に悩む人のほとんどがAGA(男性型脱毛症)だといわれています。AGAの場合でも低出力レーザー治療で育毛が促進されることはありますが、AGAによる薄毛や抜け毛を根本から改善し、発毛を促すためには内服薬による治療が効果的とされています。
AGAは主に男性ホルモンによって抜け毛が誘発されるため、男性ホルモンに働きかける治療薬が有用です。「ひとまず何か」と思い至ったのであれば、まずは専門クリニックで現状を確認して適切な治療法を取り入れることをおすすめします。
薄毛治療専門のAGAヘアクリニックでは多くの治療実績に基づき、お一人おひとりに合った治療方法や治療薬を提供しています。内服薬や外用薬など、治療薬の組み合わせによって費用が異なるため、医師と相談したうえでご予算に合った治療方法を決められます。プライバシーに配慮した個室で診察から会計までを行なっており、カウンセリングと診察は初診・再診にかかわらず何度でも無料です。いつでもお気軽に受診いただけますので、ぜひ一度当院にご相談ください。
出典・参考URL
- 低出力レーザー照射による鎮痛作用の研究 - 鈴木 和夫
- 薄毛をレーザーで治療できる発毛・増毛の仕組みとは? - アデランス
- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版 - 日本皮膚科学会
- 超狭帯域LED光源の開発とその皮膚医学応用 - 京都大学
- 髪を育てる赤色ナローバンドLED光 - アデランス
- 臨床試験と効果 - HAIR MAX
- 2019年春、最新毛髪科学の研究現場から - 研究開発レポート アデランス プラス
- レーザー治療について - 光中央診療所・日本リウマチレーザ研究所
- 低出力レーザー照射で男性型脱毛症を有意に改善 - ケアネット
- フィナステリド錠 - オルガノン株式会社
- ミノキシジルローション5% - 日本ジェネリック株式会社