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【医師コメントつき】石けんシャンプーは頭皮や髪の毛に良い?クエン酸リンスでデメリットを解消
その名の通り、石けんの主成分「脂肪酸カリウム」などを用いた界面活性剤を配合している石けんシャンプー。“頭皮や環境にやさしいシャンプー”といわれることの多い石けんシャンプーですが、存在は知っていても実際に使用したことがなかったり、効果やメリット・デメリットについてくわしく知らない方も多いのではないでしょうか。
今回のAGAタイムスでは、そんな石けんシャンプーの特徴や石けんシャンプーと相性が良いとされるクエン酸リンスの効果や作り方・使い方について紹介していきます。
目次
石けんシャンプーの特徴
〇石けんシャンプーとは
石けんシャンプーとは、セッケン(注1)に分類される陰イオン界面活性剤(注2)「カリ石けん素地」を配合したシャンプーです。
注1:セッケンには、表記の仕方によって界面活性剤を意味する場合と界面活性剤を主剤とした製品を意味する場合があるが、化学分野では界面活性剤を「セッケン」と表す。
注2:分子中の親水基にアニオン基を持っている界面活性剤。アニオン界面活性剤とも呼ばれる。主に洗浄及び起泡、乳化などを目的として化粧品や洗剤などに配合される。
カリ石けん素地は基本的に液体石けん製品に用いられる界面活性剤ですが、化粧品成分表示における液体石けん成分の表示は、必ず「カリ石ケン素地」と記載されるわけではなく、カリ石ケン素地を構成する成分に応じて以下の表のように記載方法が変わります。
表示の種類 | 使用成分 | 表示成分一覧 |
---|---|---|
単一成分表示 | ― | カリ石けん素地 |
反応後表示 | 高級脂肪酸 +水酸化K |
ラウリン酸K、ミリスチン酸K、パルミチン酸K、ステアリン酸K、オレイン酸K |
油脂+水酸化K | ヤシ脂肪酸K、オリーブ脂肪酸K | |
反応前表示 | 高級脂肪酸 +水酸化K |
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、水酸化K |
油脂+水酸化K | ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ果実油、水酸化K |
〇石けんシャンプーのメリット・デメリット
石けんシャンプーには、泡立ちや泡の持ちが良いため洗髪時の使用感が良好、泡切れが良く髪の毛をすすぐ際にぬるつきなどの不快感を感じにくいという特徴があります。さらに洗浄力が高いため、頭皮や髪の毛の皮脂やほこり汚れをしっかり洗い落とし、髪の毛に残留したコーティング剤などを取り除いて軽やかで立ち上がりの良い髪の毛に仕上げます。
またシャンプーなどに用いられる界面活性剤は、毎日繰り返し長年体に取り込まれたときに“動物に悪影響がないと考えられる最大量(無毒性量)”と“日常生活で人体に入ると考えられる最大量(人体最大摂取量)”から安全性を確認します。この2つの量の比である安全率が100倍以上であれば「リスクは小さい」とされますが、基本的に洗剤主成分である界面活性剤はいずれも安全率が100倍を超えているため「安全性に問題ない」といえます。
なかでも石けんシャンプーに使用される一般的なカリ石ケン素地は、セッケン成分として長い使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作(アレルギー)の報告が見当たりません。また、石けんシャンプーは配合されている成分自体が少ないため、単純にアレルゲン物質を含むリスクが低いことからも、皮膚刺激および皮膚感作の危険性が少ないと考えられます。
セッケン自体にアレルギーを持っている方の場合は、当然ながら石けんシャンプーを使用すればアレルギー症状が出てしまう恐れがあります。
ただし、「石けん製品にアレルギーが出る」と感じている方のなかには、実はセッケンではなく石けん製品に含まれる他の成分に反応してアレルギー症状が出ていたという方もいらっしゃいます。固形石けん一つをとっても、水とセッケン素地以外に香料や防腐剤などを含んでいる製品はたくさんあります。石けん製品を使用した際にアレルギー反応が認められた方は、一度しっかりとアレルゲン物質に関しての検査を行ってみるとよいでしょう。
さらに、界面活性剤の多くは水生生物のエラに吸着して酸素吸入を阻害することで水生生物に悪影響を及ぼすといわれていますが、セッケンは水に触れると水中のカルシウムなどの金属イオンと反応して水に溶けない(界面活性がない)状態になるため、その他の界面活性剤を含む洗剤に比べて水生生物への影響も少なくなるといわれています。
これらのことから、石けんシャンプーには以下のようなメリットがあるといえるでしょう。
- 泡立ち、泡の持ちが良好で使用感が良い
- 泡切れが良いため、すすぎ時のぬるつきなどの不快感が少ない
- 頭皮や髪の毛の皮脂、ほこり汚れをしっかり洗浄できる
- ふんわりと立ち上がりの良いボリューム感のある髪の毛に仕上がる
- 皮膚刺激やアレルギーの危険性が少ない
- 環境への影響が比較的少ない
【石けんシャンプーのメリット】
しかし、石けんシャンプーには良い面だけでなく悪い面も存在します。
先述した通り、石けんシャンプーは高い脱脂力、洗浄力を誇るシャンプーであるため、必要な皮脂や髪の毛に残留していたコーティング剤なども洗い落としてしまうことがあります。それにより本来のヘアダメージが露見して見た目や手触りが悪くなる、また髪の毛や頭皮が乾燥しやすくなり、うねりや広がり、頭皮のかゆみや皮脂の過剰分泌などのトラブルが発生することもあります。
また、本来弱酸性である頭皮や髪の毛が石けんシャンプーによってアルカリ性に傾いてしまい、一時的に頭皮が過敏な状態になったり、キューティクルが開きやすくなってごわついてしまうことも考えられます。このとき、カリ石けん素地と水中のカルシウムやマグネシウムなどが反応してできた石けんかす(金属石けん)がコーティング剤の剥がれた部分やキューティクルのすき間に残り、髪の毛にべたつきを感じやすくなることもあるため、お湯で念入りに髪の毛や頭皮を洗い流す必要があるでしょう。
これらのことから、デメリットについても以下のようにまとめてみました。
- 髪の毛本来のヘアダメージが露見し、見た目や手触りが悪くなる
- 髪の毛が乾燥しやすくなり、うねりや広がりなどが出やすくなる
- すすぎ時に髪の毛がきしみやすくなり、擦れによる負担がかかる
- べたつきを感じやすくなることがある
- 頭皮が乾燥しやすくなる
- もともと皮膚が敏感な方、アトピー性皮膚炎など頭皮になんらかの炎症を抱える方は刺激になりやすい
- ヘアカラーの持ちが悪くなりやすい
【石けんシャンプーのデメリット】
クエン酸リンスでデメリットを解消
ここまでの内容で「石けんシャンプーに興味あるけど、なんだか髪や頭皮に悪そう」と不安になる方もいるかもしれません。そんな石けんシャンプーの弱点を中和して補ってくれるのが「クエン酸リンス」です。
クエン酸リンスとは、その名の通りクエン酸を主成分とするリンスのことです。髪の毛は頭皮とは異なりアルカリ中和能(注3)を保有しないため、本来のpHを維持するためにはリンスを利用した中和が不可欠です。クエン酸リンスによってアルカリ性に傾いた髪の毛のpHを酸で中和することで、きしみやゴワつきを和らげ、キューティクルを引き締めることができます。さらに、髪や頭皮に残った石けんカスを脂肪酸に変化させて、手触りの良い髪の毛に仕上げる効果も期待できます。
注3:皮膚がアルカリ性に傾いた際、本来のpHに戻す(pHを維持する)ために働く体の機能。
つまりクエン酸リンスは、石けんシャンプーの欠点を補ったうえで使い勝手も向上させてくれる、ベストパートナーといえるでしょう。
「ラウレス-3酢酸Na」など、酸性石けんの成分を界面活性剤としたシャンプーもありますが、こちらは弱酸性であるため頭皮や髪の毛への刺激性が比較的穏やかです。いわゆる石けんシャンプーのデメリットが緩和されるため、クエン酸リンスの使用も必要がなくなります。しかし、合成の油を原料にしているので使用感は高級アルコール系のシャンプーに近く、石けんシャンプーならではのメリットは薄まるのが難点。どのような効果を最も欲するかでご自身に合ったシャンプーを選択するとよいでしょう。
クエン酸リンスは、石けんシャンプーによって本来あるべき値から傾いてしまったpHや電荷(注4)を中和することによって、髪の毛に残っている石けんかすの除去や手触りの改善効果が期待できます。
しかし、これらはそもそも石けんシャンプーの影響ありきで得られる効果なので、その他のシャンプーと一緒に使用しても同様の効果は得られません。使用するシャンプーによってはクエン酸リンスのコンディショニング効果では力が及ばず、かえって髪の毛の乾燥を招いてしまうこともあるため、組み合わせには注意しましょう。
注4:電気を持つ粒子(電子や陽子)のこと。物体が帯びている電気。電荷の量を電気量という。
クエン酸リンスの作り方・使い方
クエン酸リンスは「石けんシャンプー専用リンス」などの名称でネットショップやドラッグストアで販売されていますが、実は自宅でも手軽に作ることができます。必要な材料や作り方を紹介していきます。
用意するものは、以下の通り。
- クエン酸(粉末)
- グリセリン
- 水
- お好みのアロマオイル
- ボトル容器(プッシュポンプ付き)
- ボウル
- 泡立て器
《材料》
《使用するもの》
クエン酸やグリセリンは一見すると入手がむずかしそうに感じるかもしれませんが、どちらもドラッグストアやネットショップで容易に購入できます。アロマオイルは入れなくても機能的には問題ありませんが、その時の気分で香りを変えて気分転換ができるのでおすすめです。
クエン酸リンスの作り方は驚くほど簡単です。
- クエン酸大さじ3杯、水500mLをボウルに投入し、よく混ぜ合わせる
- クエン酸がよく混ざったらグリセリン1杯、お好みのアロマオイル10滴程度をボウルに入れ、よく混ぜ合わせる
- プッシュポンプ(ない場合はスポイントなど)を使用して、クエン酸リンスをボトル容器に移す
《作り方》
工程はたったこれだけ。自作のクエン酸リンスには防腐剤などの添加物が入っていないので、長期間置いておくと変質してしまいます。完成した後は冷蔵庫で保管し、2週間ほどで使い切るようにしてください。
グリセリンは濃度が高すぎると髪がパリパリになってしまうので、欲張って入れすぎないように気をつけましょう。
また、クエン酸は塩素系の洗剤などと混ざると有毒なガスを発生させるため大変危険です。塩素系の洗剤の近くには置かないように注意しましょう。
- 《使い方》
- 体質によっては、このクエン酸リンスをそのまま使用すると沁みてしまう可能性があります。必ずお湯で希釈してから使用してください。
- まずは、洗面器に5割〜8割くらいまでお湯をはります。その中に上記のクエン酸リンスを大さじ1〜3杯入れて、よく混ぜてください。あとは、クエン酸リンスを混ぜたお湯を髪や頭皮になじませて、シャワーできれいに洗い流します。
体質によってはこのクエン酸リンスをそのまま使用すると沁みてしまう可能性があります。使用の際は、お湯で希釈してから髪の毛に塗布してください。
クエン酸は、目や傷口に入ると沁みることがあるので取り扱いに注意しましょう。またクエン酸は大理石やセメント、テラコッタなどの素材を傷める恐れがあります。鉄を錆びさせる作用もあるので、使用後は丁寧に浴室を洗うよう心がけてください。
ちょっとした工夫で石けんシャンプーと上手な付き合いを
石けんシャンプーは、自然への影響や肌への刺激性が比較的穏やかであるといわれています。メリットばかりではなくデメリットもある製品ですが、クエン酸リンスなどを併せて使うなど、工夫をしながら生活に取り入れてみるとよいでしょう。
また、紹介したようにクエン酸リンスを手作りする際の材料は比較的安価で、時間的なコストもほとんどかかりません。石けんシャンプーを使う際は、ぜひクエン酸リンスも併せて使用してみてください。
ただし、体質によっては石けんシャンプーやクエン酸リンスが肌に合わない場合もあるので、初めて使用する方は注意が必要です。少しでも異常を感じたらすぐに使用をやめ、皮膚科などの医師に相談しましょう。
シャンプー習慣を変えても抜毛が気になる方はAGAヘアクリニックへ
「抜毛や薄毛が気になっていたので石けんシャンプーを取り入れてみたが、全く症状が変わらない」という場合は、そもそも石けんシャンプーでは解決できない原因が隠れている可能性があります。早いうち正しい治療を行うためにも、病院で診察を受けて原因を特定しましょう。
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