このページでは JavaScript が必要です。 設定より、JavaScript を有効にしてください。

医師が教える薄毛やAGAの治療・対策メディア

お悩みキーワード:

【医師が教える】オートファジーによる髪の毛への影響は? ミトコンドリアとの関係性も解説

生活ケア

オートファジーとは

オートファジー(autophagy)とは細胞内分解システムの一つで、日本語では「自食作用」などとも呼ばれています。自らの細胞の一部を分解し、リサイクルすることで体のあらゆる機能を健康に保つのに役立っています。

では、オートファジーが行われることで体の健康が保たれるのはなぜでしょうか。それはオートファジーが「細胞の新陳代謝およびエネルギー生成」「有害物の排除」に関係があると考えられているからです。

まず一つ目が「細胞の新陳代謝およびエネルギー生成」。オートファジーのシステムによって細胞の一部が分解されると、分解したものを利用して新しい細胞が生成されます。細胞も古くなると働きが衰えるため、細胞の働きを健康な状態に保つためには新しく作り変える必要があるのです。これにより細胞の新陳代謝が行われ、体の恒常性が保持されたり、必要なエネルギー源が確保されたりしています。

二つ目は「有害物の排除」です。オートファジーによるシステムでは、細胞内に有害なものが現れるとそれを除去するように働きます。この働きにより、体を病気などから守っていると考えられています。

このような背景から、オートファジーは体の健康を保つために役立つと考えられています。またオートファジーは全ての真核生物にみられ、さまざまな生理学的プロセスに関係しています。最近の研究では、オートファジーがアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患、がんや炎症性疾患などの発症・進行に関与していることも示唆されています。

オートファジーで髪の毛に作用するミトコンドリアの活性化が期待できる

ミトコンドリアは細胞小器官という細胞を構成する構造体の一つで、一つの細胞に数百から数千個存在するとされています。ミトコンドリアは細胞の営みにおいて欠かせない大切な存在であり、体内に摂取された栄養を「ATP(アデノシン三リン酸)」と呼ばれるエネルギーに変換する役割を持ちます。ATPは細胞の増殖や筋肉の収縮など、あらゆる生命活動を行うためのエネルギーとして全身に供給されており、私たちが生きる上で欠かせない物質です。

このように人体に必要不可欠なミトコンドリアですが、自身も活動の過程で少なからずダメージを受けます。ミトコンドリアの機能低下は体のさまざまな部分で不具合を引き起こす原因になりかねないため、常に質を保つ必要があります。オートファジーはミトコンドリアの質の維持にも関わっており、ミトコンドリアを丸ごと分解することでその働きを維持し、活性化を促しています。

〇ミトコンドリアと髪の毛の関係

最近の研究の一部では、毛乳頭細胞の働きにミトコンドリアが関与していることが示唆されています。髪の毛を構成する細胞である毛乳頭細胞においても、その活動のためにエネルギーを必要とします。ミトコンドリアが活性化されるとエネルギー生産が増加し、結果として毛乳頭細胞の活性化にも繋がると考えられているのです。もちろん、髪の毛の健康には多くの要因が関係しておりミトコンドリアの役割はその一部にすぎません。

ミトコンドリアを増加させる方法

ミトコンドリアを増加させ、毛乳頭細胞を活性化させることは薄毛や抜け毛の改善に繋がると考えられます。ここではミトコンドリアを増加させるための方法を3つご紹介します。

〇空腹の時間を作る

ミトコンドリアの活性化を促す物質の一つとして「ケトン体」という物質があります。ケトン体は中性脂肪を原料に肝臓で生成される物質で、食事からは摂取ができません。

普段、私たちの体を活動させるためのエネルギーは日々の食事からの栄養摂取により行われています。しかし食事からのエネルギー供給がなくなると、肝臓で体内脂肪を分解することでケトン体を作り出し、エネルギー生成(ミトコンドリアの活性化)に繋げようとするのです。

ケトン体を作り出すためには食事からの栄養が途切れた状態、いわば「空腹」の時間を作る必要があり、必要な空腹時間は16時間程度だといわれています。16時間と聞くと長くて難しそうな気もしますが睡眠時間を含めることも可能なため、少し意識をすれば実践も可能でしょう。ただし、過度な断食は健康を損なう恐れがあるため行わないようにしましょう。

〇寒い環境に身を置く

寒い環境に身を置くことでミトコンドリアを活性化することができます。人間の体が寒い環境下など「熱を作らないといけない状況」におかれると、「褐色脂肪細胞」を刺激することで体温を上げようとします。褐色脂肪細胞は体の体温を上げるために脂肪を燃焼して熱を生成することができる細胞です。

褐色脂肪細胞が熱を生み出すためには、細胞内にあるミトコンドリアが必要になります。つまり、褐色脂肪細胞を刺激することで、ミトコンドリアの働きも活発化するのです。毎日のシャワーの最後の数分を冷水にしたり、時々水風呂に入ったりすることで日々の生活の中でも意図的に褐色脂肪細胞を刺激することが可能といえます。ただし、寒い環境に身を置く場合など過度な冷えに注意し、無理せず行うことが大切です。

〇有酸素運動を行う

有酸素運動のような適度に負荷のある運動を行うことでATPが消費されると、それを補うためにミトコンドリアが活性化してエネルギーを作り出そうとします。有酸素運動には、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、エアロビクスなどさまざまな種類がありますが、自分に合ったものを選ぶと継続しやすくおすすめです。

だいたい30〜40分ほどの有酸素運動を週に2〜3回行うのが効果的です。無理して行うと怪我や過労のリスクなどもあるため、自分の体力などに合わせて行うようにしましょう。

オートファジーを活性化させる方法

オートファジーを活性化する方法は、さまざまな手段があります。主な方法としては「空腹状態をつくる」「活性化効果のある食品を摂取する」「適度な運動を行う」などが挙げられます。

空腹時には、エネルギー不足から細胞内のオートファジーが活性化されるといわれています。このことから「16時間の長時間断食によってオートファジーが活性化する」との考えもありますが、断食あけに食事をした際に血糖値が急上昇する恐れがあったり、栄養不足になりやすかったりなどのリスクも懸念されます。オートファジーを活性化させるためとはいえ、無理は禁物。腹八分目を意識するなど適度な食事コントロールでも効果は期待できます。

また、納豆や味噌、チーズなどに含まれる「スペルミジン」やぶどうや赤ワインに含まれるポリフェノールの一種である「レスベラトロール」、鮭やいくらなどに含まれる「アスタキサンチン」などもオートファジー活性化に効果があるとされています。

さらに、適度な運動もオートファジーの活性化に効果があるとの研究結果もあります。有酸素運動がおすすめで、ウォーキングやサイクリングなどの軽度の負荷がかかる運動を行うことが望ましいでしょう。

ただし、これらの方法は単独で行うことではなく、バランスのとれた食事と適度な運動を組み合わせることが重要です。

育毛や薄毛に関する悩みは専門のクリニックへ

現在、オートファジーが髪の毛の成長にも関係があることが明らかになってきています。しかし、髪の毛の成長には多くの要因が関係しており、オートファジーはその一部に過ぎません。多くの要因の中から、自分の悩みの原因を見極めるのは個人の判断だけでは難しいでしょう。そのため、髪の毛のことで何か悩みを抱えている場合は一度、薄毛治療専門クリニックの受診をおすすめします。

薄毛治療専門クリニックであれば、自分の薄毛や髪の毛に関する悩みの原因を知ることができ、どのような対策を行えば良いのかなど専門家のアドバイスのもと改善へ向けてアプローチすることが可能です。AGAヘアクリニックでは診察とカウンセリングは何度でも無料で行っています。また、診察室は完全個室制を採用しており、他の患者様と顔を合わせることなくご相談いただけます。ぜひ一度ご相談にいらしてください。

アクセスランキング