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【医師コメントつき】円形脱毛症の原因と対策

毛髪・頭皮ケア

ブラッシングのときに、ふと頭皮に小さな円形の脱毛斑(脱毛している部分)を発見したら驚く人は少なくないでしょう。大きなストレスや心配事はないはずなのに、何の前触れもなく発症してしまうのが「円形脱毛症」です。今回のAGAタイムスでは、円形脱毛症の特徴や原因、治療法など、現在判明している情報についてご紹介していきます。

円形脱毛症とは

円形脱毛症とは、主に丸く円状に毛髪が抜けてしまう後天性の脱毛症です。一般的には髪の毛が10円玉ほどの大きさの範囲で脱毛する症状が想像されますが、頭髪だけではなく全身で発症する場合もあります。

自覚症状はないことが多いですが、脱毛前や発症時に軽いかゆみや淡い紅斑が現れる場合もあります。また爪に小さな点状の凹みができるなどの変化がみられることもあります。

年齢や性別を問わず、誰にでも発症する可能性があるとされる円形脱毛症ですが、明確な原因はまだ解明されていません。そのため現状では日本皮膚科学会が定める「円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」(以下、ガイドライン)でも推奨度A(行うよう強く勧める)の治療法が存在しない疾患です。

医師に聞いた「円形脱毛症に伴う症状」

【急性期に起こる症状】

円形脱毛症を発症した場合、様々な症状が現れることがあります。進行が止まることもあれば増悪していくこともあるため、早めの治療が大切です。脱毛が気になる場合は、このような症状がないかチェックしてみましょう。

ある日突然抜け毛が増えたと感じる
爪に小さな点のような凹みができた
抜けた髪の毛の毛根をみると、細く尖っているのがわかる
起きるたびに枕に抜け毛がたくさん落ちている
脱毛斑周囲の髪の毛が少し引っ張るだけで抜けてしまう
頭部に地肌が見える箇所が現れ、はっきりした円形または楕円形をしている
脱毛斑が徐々に大きくなっている
脱毛斑が複数あり、大きさも変化している

【回復期に起こる症状】

脱毛部にこのような症状が現れた場合、円形脱毛症は回復期を迎えていると考えられます。

脱毛斑に短い髪の毛が生えはじめた
脱毛斑周囲の髪の毛が引っ張っても抜けにくくなった

上記症状に思い当たるふしがある場合でも、必ずしも円形脱毛症を発症しているとは限りません。しかしながら、このような症状が出現している場合は円形脱毛症の可能性が高いため、早めに医師の診察を受けた方がよいでしょう。

円形脱毛症の種類

円形脱毛症は症状によって、以下の5種類に分類されます。

【単発型】
頭部に一箇所だけ脱毛斑が発生した状態単発型といいます。いわゆる「10円ハゲ」として広く知られており、一般的に最も多いタイプです。
【多発型】
脱毛斑が一箇所ではなく頭部の様々な場所に複数発生する脱毛症状です。単発型から多発型に移行することがあります。
【蛇行型】
主に側頭部や後頭部に見られる脱毛症状です。脱毛斑が結合していびつな形で広がっていきます。
【全頭型】
頭部全体に脱毛斑が広がった状態です。すべての髪の毛が抜け落ちてしまう場合もあり、円形脱毛症の中でも治療が長期化しやすいタイプです。
【汎発(はんぱつ)型】
頭部だけに限らず、まつげや眉毛など全身のすべての毛髪に影響を及ぼします。全頭型と同じく難治性のタイプです。

このように円形脱毛症の脱毛斑が必ずしも10円玉程度の大きさでとどまるわけではなく、症状が進行すると頭部全体に広がってしまうことがあります。また眉毛や体毛といった、毛が生えた箇所であればどこでも発生する可能性があります。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症を発症する原因はまだ完全には解明されていませんが、その要因についてはいくつか解明されています。

1. 自己免疫疾患

現在、円形脱毛症の有力な原因として考えられているのが毛包組織に対する自己免疫機序です。免疫とは外敵を攻撃することで身を守ろうとする身体本来の正常な働きです。しかし何らかの理由によりこの免疫機能が異常をきたし、正常な組織まで攻撃してしまうことがあります。

円形脱毛症の場合、免疫機能の異常から「毛包に関わるタンパク質」を敵と見なして攻撃・破壊してしまい、その結果、脱毛を引き起こすのではないかと考えられています。免疫機能の異常が何がきっかけで生じるのかはっきりとはわかっていませんが、疲労や感染症などの肉体的ストレスや精神的ストレスが引き金となる可能性が示唆されています。実際には確固たる誘因がないことも多いです。

2. 遺伝

円形脱毛症は遺伝的背景も指摘されています。円形脱毛症と遺伝の関係についてもまだ解明されていない部分が多くありますが、一親等内(親・子)に円形脱毛症を発症した家族歴がある場合、発症率は約10倍であるとされています。また一卵性双生児の場合は両者が円形脱毛症を発症した際、症状の一致率が55%ほどであるのに対し、二卵性双生児では0%という報告もあるため、円形脱毛症が何らかの遺伝的要因を持つ可能性は高いと考えられています。

3. アトピー性皮膚炎

円形脱毛症患者のうち、約4割が皮膚炎や鼻炎などになりやすいアトピー素因を持っているという報告があります。そのためアトピー素因が何らかの形で関与している可能性が示唆されています。

4. ストレス

昔から円形脱毛症の原因はストレスによるものという説がありますが、医学的な根拠に乏しく、乳幼児でも発症しうる疾患であることから、現在ではストレス原因説には否定的な見解が多くなってきています。しかしストレスをトリガーとして免疫機能異常が生じる可能性も考えられるため、ストレスと円形脱毛症は全く無関係であるとも言い切れません。

円形脱毛症への対策

円形脱毛症は原因など明らかになっていない部分が多く、まずは医師による早期発見・早期治療が重要です。それ以外には生活習慣の改善も考慮すべきです。生活習慣の改善により毛細胞が活発化し、抜け毛の予防や改善に繋がる可能性があります。円形脱毛症の直接的な治療になるわけではありませんが、症状が気になる場合は普段の生活を見直し、毛髪環境を改善しましょう。

1. 睡眠の質を上げる

人体の正常な発育や代謝、細胞の修復などを促しているホルモンの一種「成長ホルモン」は健康な髪の毛を生育させるためは非常に重要だとされています。成長ホルモンは睡眠中に最も分泌されることがわかっており、質の良い睡眠ほど分泌が活発化するとされています。そのため正常な育毛を促すには日頃から良質な睡眠をとるよう心がけることが大切です。質の良い睡眠をとるためには体温調節による睡眠導入や睡眠中に成長ホルモンが分泌されるタイミングなどを知っておくとよいでしょう。

【睡眠と体温の関係】
睡眠の質は入眠前の深部体温を高めることで向上することが知られています。日本大学医学部精神医学系の医師らは以下のように提唱しています。
○深部体温と概日リズムは互いをコントロールし合っている
ヒトの体内時計といわれる「概日リズム(サーカディアンリズム)」によって日中は体の深部体温が高くなり、夜間は低くなる。夜間の深部体温の低下により代謝も低下し、身体が「休息状態」になるため日中は覚醒し夜間は睡眠欲が高まるという生理現象が起こる。
○睡眠は熱の放散により誘導されている
最近の研究では熱放散に伴う皮膚温の上昇が睡眠を誘発することが明らかになっている。機序としては、熱放散をした際に深部体温が下がり、睡眠が導かれているためである。
○冷え性を改善することで寝つきが良くなる
冷え性の場合は末梢の皮膚温が低くなり熱放散が効率的に行われないため入眠が困難になることが報告されている。また温度や湿度が高い夏の日など熱帯夜の寝付きにくい理由は、外気温が高いために熱放散がしにくい状態になっていることが原因だと考えられている。
【睡眠と成長ホルモンの関係】
成長ホルモンが最も分泌されるタイミングは入眠してから約3時間後だといわれています。入眠後すぐレム睡眠に入り、のちにノンレム睡眠へ入っていきます。またノンレム睡眠は4段階に分けられており、4段階目が最も深い眠りのレベルだとされています。
成長ホルモンはこのノンレム睡眠の3段階目から4段階目のタイミングで分泌が活発になるとされています。入眠からおよそ3時間後にノンレム睡眠の3段階目・4段階目になり、このタイミングで成長ホルモンの1日の分泌量のうち、男性は約60%、女性は約50%が分泌されます。

2. 栄養バランスのよい食生活を送る

正常な育毛を促すうえで、なるべく健康体を保つことは重要だとされています。健康的な体づくりのためにも、食生活においては1日3回の食事をできるだけ栄養バランスを意識してとることが大切です。さらに育毛によいといわれている栄養素や食材を積極的に取り入れていくとよいでしょう。

髪の毛は18種類のアミノ酸が結合したタンパク質の一種「ケラチン」を主成分として構成されています。ケラチンはアミノ酸とアミノ酸が繋がったペプチドという単位のタンパク質です。アミノ酸が吸収・結合されることによって作られます。そのため健康的な髪の毛を育むにはタンパク質の摂取が重要だといわれています。

◆タンパク質を含む食材◆
鶏ムネ肉、豚ロース肉、牛モモ肉、鮭、マグロ(赤身)、卵、大豆 など

ビタミン類も髪の毛の成長に大きく関わっているとされています。皮膚で構成される頭皮を健康に保つためには、コラーゲンの生成に必須のビタミンCや抗酸化作用を持つビタミンE、タンパク質の働きをサポートするビタミンB群などが必要不可欠なのです。

◆ビタミン類を豊富に含む食材◆
【ビタミンC】赤ピーマン、キウイ、ケール など
【ビタミンE】アーモンド、カツオ、イワシ、しいたけ など
【ビタミンB群】豚肉(B1)、うなぎ(B2)、マグロ(B6)、牡蠣(B12) など

3. ストレスをなるべく緩和する

ストレスは円形脱毛症の直接原因にはならないとされていますがストレスを溜め込むと抜け毛に繋がる可能性があります。

ストレスを感じると副腎皮質から分泌されるホルモンの一種「コルチゾール」の血中濃度が上昇します。コルチゾールはタンパク質や脂質の代謝に関与し、生命の維持には欠かせないホルモンです。しかし過度なストレスによってコルチゾールが過剰に分泌されると免疫機能が低下したり糖尿病や心筋梗塞などのリスクが高まります。正常な育毛には健康体であることが重要だと考えられているため、ストレスは日頃から緩和しておいた方がよいといえるでしょう。

また、ストレスが薄毛に繋がる主な要因は、ほかにもいくつか考えられます。

■ 血行不良により毛母細胞の働きが低下
ストレスによって自律神経が失調をきたすと血行不良になることが考えられます。血行不良に陥ると髪の毛のもととなる毛母細胞まで栄養が届きにくくなり育毛が妨げられる可能性があります。
■ ホルモンバランスの乱れによる抜け毛の助長
過度なストレスは自律神経を乱すだけでなくホルモンバランスを崩す要因ともなります。特に女性の場合はホルモンバランスの乱れが直接抜け毛や薄毛に繋がるケースもあるため注意が必要です。
■ アドレナリンにより活性酸素が増加
ストレスを感じると交感神経が優位になりアドレナリンが分泌されます。アドレナリンは体内の活性酸素を増加させる効果があるため、活性酸素による体内の機能低下に繋がる恐れがあります。体の機能が低下すると十分な育毛が行われず薄毛や抜け毛を助長する可能性が考えられます。

このようにストレスに起因して抜け毛や薄毛が起こることも考えられます。

ストレスが溜まりやすい場合は趣味に没頭するなど自身にあったストレス発散方法を見つけたり、適度な運動などでストレスを緩和したりするとよいでしょう。

4. ウィッグなどを使用する

人の目が気になるようであれば、ウィッグやかつら、帽子を取り入れることもひとつの対策です。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(以下、ガイドライン)ではかつら着用患者に対する調査でQOL(※1)向上が優位にみられたとの報告もあります。薄毛部位を覆うことで自覚的な安心感や他者からの視線軽減など心理的なストレスをやわらげられる場合もあるため、効果的だと考えられています。

※1:Quality of life=生活の質

5. 正しいヘアケアを心がける

健康的な髪の毛を育てるためには、健康体の維持とあわせて健やかな頭皮を保つことも重要とされています。健康的な頭皮を維持するには日頃のシャンプー方法を見直したり、頭皮マッサージなどで血行を促したりすることも大切です。

またシャンプーの成分を知ることで自身の頭皮のタイプに合ったシャンプーを選ぶことができます。

《一般的なシャンプーの種類》
◆高級アルコール系シャンプー
特徴:洗浄力が強い。比較的安価で購入可能
こんな人におすすめ:頭皮や髪の毛のトラブルがなく健康的な地肌の方
◆アミノ酸系シャンプー
特徴:洗浄力が穏やか。頭皮に対する刺激が優しい
こんな人におすすめ:頭皮が乾燥しやすい方。頭皮トラブルを抱えている方
◆石鹸系シャンプー
特徴:洗浄力が強い。アルカリ性
こんな人におすすめ:自然派志向の方。極度な脂性の方

円形脱毛症の治療法

現在、ガイドラインに記されている円形脱毛症の治療法で最も推奨度が高いとされる「B(行うよう勧める)」の評価を受けている治療法は、以下の4つです。

  • ステロイド局所注射療法
  • 局所免疫療法
  • ステロイド外用療法
  • かつら
■ ステロイド局所注射療法
ステロイド局所注射療法は、ステロイド薬剤を真皮下層から皮下脂肪層に直接注射する治療法で、比較的症状の軽い単発型や多発型の治療に用いられます。ただし症例の少なさや疼痛を伴うことから、子供への治療法としては確立されていません。投与は1カ月に1回程度で済み、通院時にその場で施術できるため比較的安全性の高い治療といわれています。
■ 局所免疫療法
局所免疫療法とはSADBEやDPCPといった、かぶれを引き起こす物質を皮膚に塗布して発毛を促す治療法です。脱毛が広範囲に渡る多発型や全頭型に対し、年齢を問わず使用が推奨されています。しかし汎発型や甲状腺疾患を伴う場合では効果が乏しいとされており、頭痛や倦怠感、じんましん、色素沈着などの副作用も懸念されています。さらにアトピー性皮膚炎を併発している場合は、症状が悪化する恐れもあるため注意が必要です。また円形脱毛症に対するSADBEやDPCPの治療は保険が適用されません。施術頻度は週1回〜月1回程度まで、治療の経過を診ながら調整されます。
■ ステロイド外用療法
ステロイド外用療法は、ステロイド剤を頭皮に直接塗布する治療法で、1日1〜2回患部に塗布します。比較的軽度の単発型、多発型に用いられますが、最近の報告では中症程度の円形脱毛症にも効果が認められたとされています。しかし全頭型や汎発型患者に行なった研究では、一時的には症状が回復したものの、一部の患者は症状が再発し治療前の状態に戻ったという報告があり、重症度の高いレベルでは推奨されていません。
■ かつら
多発型や全頭型、汎発型など頭部全体に脱毛が及ぶ症状の場合に推奨されています。かつらには 円形脱毛症の直接的な治療効果はないものの、頭部を紫外線や外傷から守る上でも有用であり、またQOLの改善に期待が持てるとして推奨度Bを得られています。

ステロイド局所注射療法、局所免疫療法、ステロイド外用療法は主に皮膚科で受けることができます。

ただし治療適応がある場合とそうでない場合があるため、すべての円形脱毛症患者に行われるわけではありません。円形脱毛症は自然治癒することもあるため場合によっては経過観察となるケースもあります。

また最近では、抗ヒスタミン薬が円形脱毛症治療に有効であるとの報告も多くあります。その他にも、患部に液体窒素や雪状炭酸を圧抵させる「雪状炭酸圧抵療法」と呼ばれる治療法などが存在します。症状や進行度合いによって治療法が異なってくるため、症状が悪化する前に病院で医師の診察を受けるようにしましょう。

円形脱毛症に発毛剤は効くのか?

AGA(男性型脱毛症)の治療に用いられる発毛剤「ミノキシジル」は、円形脱毛症に対する効果としては十分に実証されていません。これは円形脱毛症とAGAの原因が異なることも影響している可能性があります。円形脱毛症は自己免疫の異常が主な原因であると考えられているのに対し、AGAは主に男性ホルモンに起因する脱毛症です。男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン(DHT)」が前頭部から頭頂部に生えている髪の毛の成長を阻害することでヘアサイクルが短縮します。

ミノキシジルは発毛を促す作用があり、AGAによる脱毛症状に効果を発揮することが十分に実証されています。しかし円形脱毛症には効果が全くないというわけではなく、海外ではミノキシジルの円形脱毛症に対する治療実績も存在します。少ない症例ではあるものの、国内でもミノキシジルによって円形脱毛症の改善が見られたとの報告があるため、ガイドラインでは推奨度C1とされ、単発型および多発型の症例に併用療法のひとつとして行なってもよいと評価されています。

当院にも「AGAだと思っていたら円形脱毛症だった」という患者様や「円形脱毛症を改善する治療薬が欲しい」といった患者様がご来院することがあります。円形脱毛症の脱毛斑がミノキシジルで発毛する場合もありますが、より適切な治療を行うためにも、AGAでなかった場合は皮膚科院など症状に合った病院をご紹介させていただいております。

円形脱毛症は早めの治療を

円形脱毛症は早期に適切な処置を受けることで予後が改善される疾患です。しかし再発の可能性が高かったり、鏡で見えにくい部分の脱毛斑には気付きづらかったりするなど、注意が必要な疾患です。円形脱毛症を発症してしまった場合は一人で抱え込まず、まずは医師に相談してください。医師の診察で適切な処置やアドバイスをもらうことができるため早期改善の可能性が高くなります。

万が一、病院で「円形脱毛症ではなくAGAである」と診断された場合はAGA治療専門の病院へ行くことをお勧めします。AGAヘアクリニック(以下、当院)はAGA治療専門の病院です。男性のAGAや女性のびまん性脱毛(FPHL等)の治療を専門に行なっております。当院では誰もがご納得いただける薄毛治療を目指しており、医師による診察や相談に料金は発生いたしません。まずはお気軽に当院でご相談ください。