【医師が教える】「つむじが2つあるとハゲやすい」に科学的根拠はない
つむじの数は人それぞれ異なりますが「つむじが2つある人は天才肌」や「つむじが2つあるとハゲる」など、つむじの数に関する俗説はいくつか存在します。しかし、どの俗説にも科学的根拠はありません。つむじ部分の薄毛に関しては、つむじの数に関係なく誰もが発症の可能性を持っているといえます。今回のAGAタイムスでは俗説の起源として考えられる「つむじハゲ」について解説します。
つむじとは
つむじを漢字で書くと「旋毛(せんもう)」と表記されます。この漢字のとおり、髪の毛が渦を巻いて旋回するように生えている場所が人の頭頂部には多く見られます。このつむじの巻き方や数には個人差があり、右回りで渦を巻く人や左回りで渦を巻く人、あるいは数が1つだけの人や2つ以上の複数のつむじを持つ人もいます。つむじの存在によってある程度規則性のある方向に髪の毛が伸びるため、髪の毛に流れが生まれることが考えられます。興味深いことに、つむじの巻き方は遺伝するといわれています。
つむじが何個でも薄毛になる可能性は同じ
「つむじが2つ以上あるとハゲやすい」などの噂を耳にして不安に思う方もいるでしょう。確かにつむじ周辺は他の場所と比べて髪の毛が薄く見えやすいため、つむじが複数ある場合には薄毛に見える傾向があるといえます。また、一般的につむじのある頭頂部は薄毛の症状が現れやすい部位です。
しかし、つむじの数と薄毛との相関性はなく先ほどの噂に科学的根拠はありません。つむじ周辺に起こる薄毛の多くはAGA(男性型脱毛症)という疾患です。AGAの原因は“つむじの数”ではなく主に“男性ホルモン”が影響しています。
男性ホルモンは性別に関わらず誰もが持っている生命維持に必要不可欠なホルモンです。したがって、つむじの数に関係なく誰にでも薄毛になる可能性はあるといえます。
つむじハゲ「AGA」の原因
世間一般では「つむじハゲ」とも呼ばれる、つむじ周辺に起こる多くの薄毛「AGA」には様々な原因があります。
1. 男性ホルモン
AGAは男性ホルモンの一種である「DHT(ジヒドロテストステロン)」が髪の毛の生え変わる周期「ヘアサイクル」に悪影響を及ぼすことで起こる脱毛症です。DHTは男性ホルモンの一種である「テストステロン」が「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素と結びついて変化した物質です。
5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、主にⅠ型は全身の皮膚や皮脂線に、Ⅱ型は前立腺や髭、前頭部の毛包に存在しています。そのためAGAによる薄毛には主にⅡ型5αリダクターゼが関わっていると考えられています。
DHTは髭などの部位に存在する男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)と結合することで「IGF-1」のような化学メディエーター(化学伝達物質)を増加させ、髭や体毛を成長させる作用を持ちます。しかし頭頂部や前頭部に存在する男性ホルモン受容体に結合すると「TGF-β」のような化学メディエーターを増加させ、ヘアサイクルを短縮させます。結果として髪の毛が細く短くなる「軟毛化」を助長するため、つむじ周辺や額の生え際に薄毛が起こることがわかっています。
またAGAの診断基準として進行パターンや進行レベルが分類されています。頭頂部と前頭部の薄毛が徐々に同時進行していくパターンや前頭部や生え際から進行していくパターンなど様々です。日本人の場合「つむじハゲ」に当たる頭頂部の薄毛のみが進行するパターンが多く見られることから、日本人に多い進行パターン(Ⅱvertex)を加えた「高島分類」を用いることもあります。
2. 生活習慣の乱れ
AGAの原因は男性ホルモンだけではありません。日頃の生活習慣の乱れもAGAによる薄毛に影響している可能性があります。特に栄養バランスの偏りや睡眠不足などは頭皮の血行不良や自律神経の乱れなどを招くことが考えられます。生活習慣の乱れが直接薄毛に繋がるとはいえませんが、間接的に薄毛のリスクファクターとなりえます。
- ●食事
- 栄養バランスが極端に偏った食事は血行不良や体調不良を引き起こしやすくなるとされています。髪の毛の成長をより良く促すには体の健康状態が万全であることが好ましいため、日頃から栄養バランスの乱れた食生活を送っていると、正常な育毛が妨げられる恐れがあります。
- ●睡眠
- 髪の毛の成長にも関与する「成長ホルモン」は睡眠中に最も分泌されることがわかっています。成長ホルモンの分泌が低下すると正常な育毛が阻害される可能性があります。そのため睡眠は育毛に重要であり、日頃から睡眠不足や質の悪い睡眠が続くことで髪の毛の成長に影響が出る恐れがあります。
- ●ストレス
- 人はストレスを感じるとストレスホルモンが産生されます。それらによって血管の収縮や自律神経の乱れが起こり体へ悪影響を及ぼすことがあります。ストレスによって体に悪影響が及ぶと髪の毛が正常に発育しなくなる恐れがあります。
3. 遺伝
AGAの発症に関わる5αリダクターゼやアンドロゲンレセプターに関する遺伝子情報には遺伝性があると考えられています。5αリダクターゼやアンドロゲンレセプターはAGA発症の重要な要素であり、AGAを発症しやすい体質は親からの遺伝によって受け継がれる可能性があります。
つむじハゲの対処法
AGAは進行性の脱毛症です。そのため、つむじ周辺の薄毛が気になり始めたら早めに予防や対策を行うことが進行の抑制に繋がります。まずは薄毛の原因を明らかにするためにもAGA治療専門クリニックなどで診察を受けることをお勧めします。
AGAによる薄毛の根本的な改善には薄毛治療が有用です。現在、国内で最も推奨されているAGAの治療法は投薬治療です。投薬治療ではAGAの進行を抑制する「フィナステリド」や「デュタステリド」、発毛を促す「ミノキシジル」を用いることで症状を改善していきます。
- ●フィナステリド
- フィナステリドはAGAの発症要因である5αリダクターゼの“Ⅱ型”の働きを阻害する治療薬です。5αリダクターゼⅡ型の働きを阻害することでDHTの生成を抑制し、薄毛の進行を防ぎます。
- ●デュタステリド
- デュタステリドは5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型の双方の働きを阻害することでDHTの生成を抑制し薄毛の進行を防ぎます。デュタステリドはフィナステリドと似た作用を持ちますが、Ⅱ型5αリダクターゼの抑制効果はフィナステリドのおよそ3倍、増毛効果はおよそ1.6倍あるとされています。
- ●ミノキシジル
- ミノキシジルは髪の毛を生成する細胞「毛母細胞」に働きかけヘアサイクルを正常に戻したり、髪の毛の根元に存在する毛乳頭を活性化させことで発毛効果を発揮する治療薬です。ミノキシジルによって健康で丈夫な髪の毛が生成されていくため薄毛の改善が期待できます。
また薄毛治療だけでなく、生活習慣の改善も薄毛の予防に繋がると考えられます。つむじハゲが少しでも気になる場合は、日頃から栄養バランスの整った食事を摂取することやなるべく質の良い睡眠をとること、またストレス発散なども心がけ、つむじハゲの予防に努めましょう。
薄毛治療はAGAヘアクリニックへ
「つむじが2つあるとハゲる」という噂に科学的根拠はありません。しかし、つむじ周辺はもともと髪の毛が薄く見えやすいこともあるため薄毛になってしまった場合に、余計に目立ちやすくなってしまうことがあります。つむじ周辺はAGAの影響を受けやすい場所です。つむじの数に関わらず薄毛が気になり始めたら早めに対策を行いましょう。もしAGAの疑いがある場合はAGA治療専門のクリニックで治療を受けることが予防・改善の近道といえます。
AGAヘアクリニックは薄毛治療専門のクリニックです。薄毛治療の経験が豊富な医師が在籍し、カウンセリングや診察は初診・再診に関わらず無料で行なっています。AGA治療について詳しく知りたい場合や薄毛治療を始めたいとお考えの場合には、ぜひ一度当院までお越しください。