【医師が教える】AGA治療薬を徹底比較「フィナステリド」と「デュタステリド」
男性にみられる脱毛症の多くは「AGA(男性型脱毛症)」とされており、現在では一般的な知名度も高まりつつあります。
AGAには、いくつかの治療薬が存在しますが、中でも多用されているのが「フィナステリド」と「デュタステリド」です。2つの治療薬は作用が類似しており、AGAの進行を抑制し、発毛を促進する効果が期待できます。今回のAGAタイムスでは、フィナステリドとデュタステリドの相違点についてみていきます。
AGA(男性型脱毛症)とは
はじめに、AGAのメカニズムについて確認しましょう。AGAは体内に存在する男性ホルモンの一種「テストステロン」が「5αリダクターゼ」という酵素の作用で変化した「ジヒドロテストステロン(DHT)」の影響を受けることで発症します。AGAは進行性の脱毛症であるため、自然に症状が回復することはありません。
髪の毛には「ヘアサイクル(毛周期)」と呼ばれる一定の周期があり「成長期」「退行期」「休止期」で構成されています。AGAでは、DHTの作用によりヘアサイクル中の成長期が短縮されてしまいます。結果、髪の毛が十分に成長する前に抜けてしまい、薄毛へつながってしまうのです。
出典: AGAヘアクリニック
AGA治療は、症状の進行を抑制しつつ発毛を促進することで改善されていくと考えられています。フィナステリドとデュタステリドはその効果が期待できるため、AGA治療に有効なのです。
フィナステリドとデュタステリドの相違点
次に、フィナステリドとデュタステリドの相違点を「販売経緯」「AGAに対する作用」「用法・用量」「副作用」「禁止事項」のそれぞれで確認していきましょう。
◯販売経緯
フィナステリドはアメリカのメルク社が開発した治療薬です。国内ではフィナステリド配合治療薬「プロペシア」がMSD株式会社より販売されたことを皮切りに、各製薬会社からジェネリック薬も解禁され、現在では病院やクリニックで処方可能です。
一方、デュタステリドは臨床試験の結果、AGAに対する有効性が認められ「ザガーロ」の製品名でグラクソ・スミスクライン株式会社によって製造販売されました。その後プロペシアと同様に国内認可を得て販売されています。
成分名 | 開発会社 | 日本での認可 | 製品名 | 国産ジェネリック薬 |
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フィナステリド | 米メルク社 | 2005年 | プロペシア | 有り |
デュタステリド | グラクソ・スミスクライン社 | 2015年 | ザガーロ | なし |
◯AGAに対する作用
フィナステリドおよびデュタステリドはDHT生成に関与する5αリダクターゼの抑制効果が認められています。前述したとおり、AGAはDHTの影響を受け発症することから、AGAの進行を抑制する効果が期待できます。5αリダクターゼには「Ⅰ型」と「Ⅱ型」が存在し、AGAは主にⅡ型の5αリダクターゼが関係すると考えられています。
フィナステリドとデュタステリドでは、5αリダクターゼへの作用に相違点があります。フィナステリドはⅡ型の5αリダクターゼにのみ作用する一方で、デュタステリドは、Ⅰ型・Ⅱ型双方に対して抑制効果が認められています。またⅡ型に対してもフィナステリドよりもデュタステリドの方が阻害効果が高いことが実証されています。
成分名 | 阻害する5αリダクターゼ | Ⅱ型への阻害効果 |
---|---|---|
フィナステリド | Ⅱ型のみ | ◯ |
デュタステリド | Ⅰ型・Ⅱ型 | ◎ |
◯用法・用量
一般的にAGA治療に用いられるフィナステリドには有効成分の含有量が0.2mgのものと1mgのものがあります。必要に応じて適宜増量できるものの、1日「1mg」が上限とされています。しかし、ほとんどの症例で初回から1mgを使用します。3カ月の連日服用により効果が発現する場合もありますが、基本的には通常6カ月の連日服用が必要です。効果を持続させるためには継続的に服用することとされています。
また、6カ月以上の継続服用の結果、AGAの進行遅延がみられない場合でも1年は効果判定のために継続することが推奨されています。1年経過しても効果が感じられない場合には、継続するかどうかを含めて医師に相談しましょう。
デュタステリドもまた、含有量が0.1mgのものと0.5mgのものが存在しますが、初回から0.5mgを使用するケースがほとんどです。デュタステリドにはタブレットタイプやカプセルタイプがあります。中でもザガーロはカプセルタイプの治療薬ですが、カプセルの内容物が口腔咽頭粘膜を刺激する場合があるため、デュタステリドの服用時は噛んだり開けたりしないよう注意しましょう。服用開始後12週間で改善が認められる場合もありますが、通常は6カ月間の継続服用が必要とされています。
またAGAの進行遅延がみられない場合でも、1年は効果判定のために継続することが推奨されています。フィナステリド同様、1年経過しても効果が感じられない場合には、継続するかどうかを含めて医師に相談しましょう。
成分名 | 用量(1日の上限) | 効果が確認できる目安 |
---|---|---|
フィナステリド | 1mg | 連日服用6ヵ月 |
デュタステリド | 0.5mg |
◯副作用
プロペシア(フィナステリド)の添付文書によると、臨床による48週間の二重盲検比較試験において、276例中11例(4.0%)に14件の副作用が認められ、主な症状はリビドー減退3例(1.1%)、勃起機能不全2例(0.7%)が報告されています。
また、市販後調査の結果、943例中5例(0.5%)に5件の副作用を認め、主な症状はリビドー減退2例(0.2%)、肝機能障害2例(0.2%)等が報告されています。
一方、ザガーロの副作用は国際共同試験において本剤が投与された症例557例(日本人120例を含む)中95例(17.1%)。主なものは勃起不全24例(4.3%)、リビドー減退22例(3.9%)、 精液量減少7例(1.3%)となっています。
日本人120例の中では副作用の症例は14例 (11.7%)あり、リビドー減退7例(5.8%)、勃起不全6例(5.0%)、射精障害2例(1.7%)が報告されています。
さらに、日本国内で行われた国内長期投与試験においては、本剤が投与された総症例120例中20例(16.7%)に副作用が報告され、主に勃起不全13例(10.8%)、リビドー減退10例(8.3%)、射精障害5例(4.2%)であり、重大な副作用として肝機能障害、黄疸が確認されています。
◯禁忌事項
フィナステリドの成分に対し過敏症の既往歴がある場合は内服できません。また、妊婦に投与することは禁止されています。フィナステリドにより、DHT生成を阻害されることで、男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼすおそれがあるためです。さらにフィナステリドは経皮吸収の恐れがあるため直接触れたり分割・粉砕したりすることも避けましょう。 粉砕・破損した場合、妊婦又は妊娠している可能性のある女性および授乳中の女性が吸入してしまう可能性があるためです。小児等に対する適応はなく、安全性及び有効性は確立していません。
デュタステリドも同様に、成分に対し過敏症の既往歴がある場合は内服できません。妊娠中や妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性は服用はおろか薬に触れることも禁忌とされています。デュタステリドもフィナステリド同様、経皮吸収の可能性があるため注意が必要です。また動物実験の結果から男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性が示唆されています。また、小児に対する安全性と有効性も確立されていないため、投与は認められていません。
フィナステリドおよびデュタステリドの処方は専門のクリニックで
有効成分フィナステリド、デュタステリドは、国内認可済みのAGA治療薬です。服用を検討される場合は、病院や専門のクリニックで処方可能です。
AGAヘアクリニック(以下、当院)は、薄毛治療専門のクリニックです。当院では、患者様の健康状態やAGAの進行度合いにあわせた最適な治療をご提案しており、プロペシアやザガーロと同じ有効成分、フィナステリドおよびデュタステリドを含む治療薬「FINA」、「DUTA」を取り扱っております。また、診察とカウンセリングは無料で何度でもお受けいただけます。薄毛や抜け毛のご相談やご質問がある場合は、ぜひ当院までお越しください。