【医師コメントつき】ミノキシジルの効果と外用薬・内服薬の違い
AGA(男性型脱毛症)の治療薬「ミノキシジル」は、発毛成分として知られています。ミノキシジルには外用薬と内服薬がありますが、外用薬と内服薬で効果や副作用などにどのような違いがあるのかを知らない方は多いのではないでしょうか。
今回のAGAタイムスでは、そんなミノキシジルの作用や外用薬と内服薬の違いについて解説していきます。
ミノキシジルとは
ミノキシジル外用薬は、日本皮膚科学会が発表している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版(以下、ガイドライン)」で推奨されているAGA治療薬です。AGAの原因は一つではありませんが、主な原因は男性ホルモンの影響でヘアサイクルの「成長期」が極端に短縮し、髪の毛の成長が阻害されることです。
ミノキシジルには髪の根元にある毛乳頭を活性化させる増殖因子「IGF-1」「VEGF」などの産生を亢進させる働きや、髪の毛を生成する「毛母細胞」に作用してヘアサイクルを延長する働きがあるとされています。これらの詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、ヘアサイクルの成長期が延期し休止期が短縮され、増殖因子が多く産生されることで髪の毛が十分に太く長く成長し、高い薄毛改善効果が得られると考えられています。
ミノキシジルはもともと血圧を下げる「降圧剤」として開発された薬剤ですが、副作用として「多毛」があらわれたことから発毛剤としての開発が進み、AGAの標準的治療薬としての地位を確立しました。
降圧剤として用いられていたミノキシジルには血管拡張作用があり、末梢血管を拡張することで降圧効果を生じます。この血流改善効果によって、育毛に必要な酸素や栄養素が毛乳頭まで届きやすくなることも発毛を促すといわれていましたが、他の血管拡張剤では同様の発毛効果が得られないことよりこの考え方は現在否定的です。
【ミノキシジルは女性でも使用可能】
そのほかのAGA治療としてガイドラインで推奨されている「フィナステリド内服薬」「デュタステリド内服薬」は、副作用として胎児の生殖器の発育に影響を及ぼす恐れがあることから、妊婦や女性は使用を禁忌とされているほか、経皮吸収の恐れがあるため薬剤に触れるなどの行為も禁忌とされています。
しかし同じAGA治療薬でもミノキシジルにはそのような作用がないため、女性でも使用可能であり、女性でも発毛効果が認められています。
国内で使用が推奨されているミノキシジル外用薬の濃度は男性が5%、女性は1%とされています。しかし海外の女性薄毛患者を対象とした研究では、1%のミノキシジル外用薬を使用した場合と比較して、5%のミノキシジルを使用した場合の方が高い改善効果が報告されており、薄毛治療専門クリニックなど専門知識を持つ医師のもとであれば、高濃度のミノキシジル外用薬の使用を検討してもよいと考えられます。しかし、副作用に多毛症のリスクがあることも留意しておきましょう。
ミノキシジルの外用薬と内服薬の違い
高い発毛効果が期待できるミノキシジルの外用薬と内服薬は、作用の仕方や成分濃度などさまざまな点において違いがあります。
■ミノキシジル外用薬
ミノキシジル外用薬は頭皮に直接塗布して使用する薬で、重篤な副作用が出る可能性は極めて低いといわれています。またミノキシジル外用薬は、厳しい評価基準が定められ世界的にも信頼度の高い「アメリカ食品医薬品局(FDA)」でAGA治療薬として認可されている薬剤です。
市販薬では大正製薬の「リアップ」などが該当しますが2018年に日本国内での特許が切れたため、現在では様々な製薬会社からミノキシジル含有発毛剤が発売されており、競争は激化しています。
ただし市販薬はミノキシジルの濃度上限が5%までと定められており、どの市販薬でも同じ濃度であれば発毛効果に大きな差が出るとは考えにくく、違いとしては価格、含有成分、添加物、ボトル仕様(使いやすさ)などが挙げられます。
また女性の場合は国内で認可されているミノキシジル濃度が1%であるため、女性が市販薬の5%含有ミノキシジル外用薬を購入し使用することはできません。もし1%よりも高い濃度のミノキシジル外用薬の使用を望む場合は、専門知識を持つ薄毛治療専門クリニックなどで医師に相談しましょう。
また男性も5%外用薬で発毛効果が感じられない場合や、市販のミノキシジル外用薬で副作用が生じたため濃度を調節したい場合などは、薄毛治療専門クリニックなどを受診することをお勧めします。
■ミノキシジル内服薬
ミノキシジル内服薬は服用することで、有効成分が体内から毛乳頭へと作用します。またミノキシジル内服薬は薄毛治療薬としては認可されておらず、海外では高血圧患者向けの降圧剤として知られている薬剤です。
ミノキシジル内服薬の発毛メカニズムは外用薬と同じですが、内服薬の方が発毛効果や成分の吸収率が高いと考えられています。ただし外用薬と内服薬の効果を比較した臨床研究は行われていません。また内服薬は外用薬に比べて副作用の出る可能性が高いと考えられており、外用薬とは異なり市販はされていないため医師による処方が必要です。 海外のミノキシジル内服薬の含有濃度は、2.5mg、5mg、10mgがあります。
ミノキシジル内服薬は現在、性別に関わらず薄毛治療薬として推奨されているものではありません。また降圧剤として米国では承認されているものの、日本では降圧剤としても認可されていないのです。
すでに認可されているミノキシジル外用薬と同じ有効成分でありながら、なぜ未認可であるのかというと、主に「国内ではAGA患者に対してミノキシジル内服薬の臨床試験が行われておらず、高血圧向け薬剤としても認可されていない」という理由が挙げられます。またミノキシジル内服薬は、経口摂取により降圧作用が強く出ることがあるため、国内のガイドラインでも推奨されていません。
全身疾患や薄毛治療の専門知識と経験のある医師が定期的に経過をみながら処方し服用していくのであれば、ミノキシジル内服薬はAGA治療に有用な治療薬であるといえます。特に敏感肌などで外用薬の使用が難しい方は、内服薬を用いることで頭皮環境を守りながら発毛を促すことが期待できます。
《当院のミノキシジル内服薬》
AGAヘアクリニック(以下、当院)では、海外の製薬会社と共同で一からミノキシジル内服薬を開発しています。様々な濃度を製造しているため、患者様の細かな体調変化に合わせて濃度を調整することが可能です。ミノキシジルの濃度を多種多様に使用しているクリニックはAGA専門病院でもそれほど多くありません。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルは重篤な副作用の報告が少ない治療薬ではありますが、副作用が全くないとはいえません。前述した副作用の一種である多毛症は髪の毛以外の体毛を増毛する症状ですが、多毛症以外にもミノキシジルの使用で起こりうる副作用がいくつか挙げられています。
■初期脱毛
ミノキシジルの使用を開始した際に「初期脱毛」が起こることがあります。初期脱毛とは、新しい髪の毛が十分に成長するまでの間、一時的に抜け毛が増えてしまう現象のことです。AGAによって休止期に留まっていた多くの毛包が、薬の作用で成長期へと移行するために起こると考えられており、新しい髪の毛が毛根の中で成長しながら古い髪の毛を押し出すことで脱毛につながります。
髪の毛の成長にとって必要なことですが、薬の作用で抜け毛の増加が起こるため不安を感じる方も少なくありません。また初期脱毛には個人差があり、抜ける量が少ない方もいれば多い方もいます。一般的に初期脱毛はミノキシジルの使用を開始してから約2週間〜8週間ほどで起こることが多く、その後ヘアサイクルが安定すると共に脱毛は減少していきます。
■皮膚炎
ミノキシジル外用薬の使用により、以下のような皮膚トラブルを発症することがあります。
- 掻痒感(そうようかん):痒み
- 発赤(はっせき):皮膚表面が炎症を起こす
- 落屑(らくせつ):表皮角質が薄い断片となってはがれ落ちる
- 毛包炎:毛包が炎症を起こす
- 接触性皮膚炎:頭皮がかぶれる など
肌質に合わないと感じた場合は一度ミノキシジル外用薬の使用を中止し、薬を処方した医師に相談しましょう。また敏感肌の方は医師に相談の上、ミノキシジル内服薬の使用なども検討するとよいでしょう。
■心臓への負担
ミノキシジル内服薬はもともと高血圧患者向けの治療薬であるため、血圧を下げる作用があることを理解した上で使用する必要があります。
稀な副作用として心機能障害や不整脈が起こる可能性があります。低血圧の方や、高血圧で降圧剤を服用中の方、心臓に障害のある方はミノキシジルの服用に際しては必ず医師へ相談しましょう。またこれらに当てはまらなくても服用後に動悸や息切れなどの症状が出た場合は、直ちに医師に相談してください。
ミノキシジル内服薬と外用薬の併用は可能?
ミノキシジル内服薬と外用薬は同じ有効成分を保有し、同じ作用を持つ薬ですが、併用が可能です。
しかし、AGAは特定の男性ホルモンによってヘアサイクルの成長期が短縮してしまうことが大きな原因の一つです。外用・内服に関わらず、ミノキシジルによって発毛を促すだけではAGAの進行を抑制することはできません。
AGAの治療にあたっては、主な原因となる男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制するフィナステリド内服薬やデュタステリド内服薬などで進行を抑制することが前提となります。その上で、ミノキシジルによって更なる発毛を促す方法を選択するのが、2019年現在の標準的な治療方針とされています。
ミノキシジルの処方はAGAヘアクリニックへ
ミノキシジルは多くの発毛効果が実証されており、薄毛改善に高い効果が期待できます。しかし副作用の可能性があることなどを考慮しながら使用していく必要があるため、薄毛治療に特化したAGA・薄毛治療専門クリニックの医師に相談しながら服用を続けていくことをおすすめします。
AGAヘアクリニックではミノキシジルの外用薬だけでなく内服薬も取り扱っており、患者様一人ひとりに最適な治療法を提案しています。診察やカウンセリングは何度受けても無料なので、まずは不安や悩みなどをお気軽にご相談ください。