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【医師が教える】頭皮のかゆみは身体のSOS。場合によっては薄毛のリスクも

毛髪・頭皮ケア

頭がかゆくて気がつくとボリボリ掻いている、ということはありませんか? 「特に気にしていない」という人もいるかもしれませんが、髪の毛の健康を考えるなら留意する必要があります。頭皮環境の状態によっては薄毛につながる可能性もあるからです。

現在、どのように脳がかゆみを認識しているのかのメカニズムが少しずつ解明され、かゆみが身体の異常を告げるシグナルであることがわかってきています。頭皮のかゆみもそのまま放置せず、なぜ生じるのかを理解し、日常のケアに気を付けることによって、薄毛リスクを軽減しましょう。

「かゆみ」は2タイプ、どちらも異常を知らせるサイン

頭皮のかゆみを説明する前に、かゆみのメカニズムについて解説しましょう。私たちの体は、皮膚表層または粘膜に異物(アレルゲンなど)が付着・侵入すると引っ掻きたくなる不快な感覚が生じます。これは「末梢性のかゆみ」と呼ばれています。またこれとは別に、内臓疾患などによってかゆみを感じる「中枢性のかゆみ」もあります。このように、伝達経路によって大きく2つのタイプに分けられるかゆみは、どれも皮膚や身体に異常が起きていることを知らせるサインであり、一種の生体防御反応であると考えられます。

1. 末梢性のかゆみ

かつては「痛みを感じる神経とかゆみを感じる神経は同一であり、刺激が弱ければかゆみに、強ければ痛みになる」と考えられていました。しかし近年では「痛みとかゆみを脳に伝える神経は別々である」ことが判明しています。かゆみを脳に伝えるのは主に「C線維」と呼ばれる最も細い末梢神経(知覚神経)で、そのメカニズムは以下の通りです。

皮膚や粘膜にはマスト細胞(肥満細胞)という細胞が存在します。このマスト細胞が何らかの刺激を受けると活性化し、ヒスタミンなどの化学伝達物質を放出します。このヒスタミンがかゆみレセプター(受容体)に結合し、C線維に働きかけることで脳がかゆみを認識する、という流れです。刺激として代表的なものとしては、植物などに触れてかぶれてしまう接触性皮膚炎、特定の食べ物に対する食物アレルギー、虫刺され、急な温度変化などが挙げられます。

末梢性のかゆみの治療には主にヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬が用いられ、アレルギー症状や炎症が強い症状にはステロイド外用薬が使われる場合もあります。

接触アレルギー 植物 ギンナン、セリ科、アブラナ科、キク科、ウルシ科 など
金属 アクセサリー、時計、ステンレス など
化粧品 ファンデーション、口紅、マスカラ、日焼け止め など
医薬品 湿布、外用薬、目薬、保湿剤 など
その他 ゴム手袋、合成洗剤 消毒薬 など
食物アレルギー 青魚、エビ、カニ、そば、ナッツ類、卵、肉、乳製品、アルコール類など
虫刺され 蚊、ブヨ、ダニ、毛虫、ノミ、ハチなど
急激な温度変化 入浴、温度差のある室内外の移動
摩擦、圧迫 締め付けの強い下着など

2. 中枢性のかゆみ

糖尿病、腎不全、原発性胆汁性肝硬変、内臓がんなどを患う人に見られる中枢性のかゆみは、内因性オピオイドの関与が原因のひとつであると考えられています。内因性オピオイドとは脳で産生される物質です。通常はβ-エンドルフィン(かゆみを誘発する内因性オピオイド)とダイノルフィン(かゆみを抑制する内因性オピオイド)の均衡がとれているのですが、身体のどこかに異常があるとβ-エンドルフィンが相対的に優位となって激しいかゆみが発現します。

中枢性のかゆみに抗ヒスタミン薬は効きません。抑制するには主にオピオイド拮抗薬(ダイノルフィンとよく似た働きをする薬)が用いられます。

ちなみに「難治性のかゆみ」とも言われるアトピー性皮膚炎のかゆみの発現には、皮膚のバリア機能障害や炎症などによる末梢性のメカニズムだけでなく、中枢性のメカニズムも関与している可能性が高く、オピオイド拮抗薬によるかゆみの抑制効果が報告されています。

頭皮がかゆくなる原因は?

1. 皮膚疾患(頭皮湿疹)によるもの

頭皮に炎症が生じるとヒスタミンなどが放出され、C繊維を通じて脳に情報が伝わり、かゆみを感じます。それだけでなく、湿疹で皮膚が荒れると、角質層の隙間から水分が蒸発して乾燥肌になりがちです。するとC繊維の先端が皮膚表面近くまで伸び、わずかな刺激にも敏感になって、よりかゆみを感じやすくなってしまいます。

頭皮湿疹の種類 定義・症状
脂漏性皮膚炎 皮脂分泌の多い頭、顔、ワキの下などにいる常在菌(カビの一種のマラセチア菌)が過剰に存在する皮脂を食べて増殖し、皮脂を脂肪酸に分解して炎症を起こします。皮膚が荒れ、頭皮にはフケ、顔や身体には鱗屑(りんせつ;銀白色のフケのようなカサつき)が生じ、かゆみを伴うことがあります。
皮脂欠乏性湿疹 皮脂不足で乾燥した皮膚に強いかゆみを感じ、つい掻いてしまうことで湿疹化してしまう症状です。空気が乾燥しやすい季節に、洗浄力の強いシャンプーで洗髪を繰り返すことなどが原因となります。
成人型アトピー性皮膚炎 小児と比較して顔面、頚部、胸部、背部に皮疹が強い傾向があり、かゆみの強い皮疹が体幹、四肢に多発する場合もある皮膚疾患です。「アレルギー」と「皮膚に炎症を起こしやすい体質」が要因とされていますが、完全には解明されていません。湿疹は頭皮から足先までできる可能性があります。
乾癬 原因が解明されていない慢性的な皮膚疾患で、頭皮・肘・膝・腰など摩擦が起きやすい場所に鱗屑を伴う紅斑が生じ、約半数の患者にかゆみがみられます。
接触性皮膚炎(かぶれ) 外からの刺激物質や抗原(アレルゲン)などが皮膚に接触することによって発症する炎症反応です。化学物質の刺激で起こる「刺激性接触皮膚炎」、アレルゲンによる「アレルギー性接触皮膚炎」、光に当たって起こる「光接触皮膚炎」などの種類があり、赤みやかゆみなどの症状が現れます。頭皮ではシャンプーやヘアカラー、育毛剤、メガネなどがアレルゲンとなりえます。

2. 生活習慣や環境によるもの

皮膚疾患がなくても、日常生活の中で頭皮にかゆみを感じることがあります。「末梢性のかゆみ」で触れたように、身近なものの刺激やアレルギー、生活習慣によってかゆみが生じることもあるからです。

原因 症状
洗髪方法 頭皮が乾燥気味の人が洗浄力の強いシャンプーを使ったり、爪を立ててゴシゴシ洗ったり、1日に何度も洗髪したりすると、必要な皮脂や皮膚常在菌まで洗い流してしまう可能性が高くなります。頭皮の乾燥が進み、フケやかゆみの原因となります。
頭皮がべたつきがちな人が洗浄力の弱いシャンプーを使ったり、毛穴まできちんと洗えていなかったり、すすぎが不十分だったりすると、汚れや皮脂が毛穴にたまって細菌が繁殖しがちです。頭皮の臭い、炎症、かゆみの原因となります。
ヘアカラーやパーマ ヘアカラーやパーマの薬剤に含まれる成分の刺激、または成分に対するアレルギーによって炎症、かゆみが起こることがあります。
紫外線 紫外線を浴び続けた頭皮は乾燥し、フケやかゆみの原因となります。また乾燥した頭皮を守ろうと皮脂が過剰分泌され、マラセチア菌の異常繁殖を招いて頭皮環境を悪化させることもあります。
蒸れ 帽子やヘルメットなどの着用で汗をかき、頭が蒸れると細菌が繁殖しやすくなって、臭いやかゆみの原因となります。

頭皮環境を悪化させると薄毛を招くこともある

頭皮にかゆみが生じたからといって必ず薄毛になるということはありません。ただ、頭皮がかゆいのは、前述したように皮膚などに何らかの異常が起こっているサインです。そのまま放置すると頭皮環境の悪化につながるうえ、我慢できずに掻いてしまうことで頭皮がさらにダメージを受け、育毛に悪影響を及ぼすことも考えられます。傷口から細菌が入り込むなどして頭皮環境がますます悪化し、髪の毛が抜けてしまうこともあります。

頭皮のかゆみの対処法

1. 掻いてはいけない

かゆみはどうしても掻かずにはいられないものですが、何度も強く掻いてしまうと皮膚を傷つけてしまう恐れがあります。その結果、バリア機能が崩れ、よりいっそうアレルゲンが侵入しやすくなったり肌の乾燥が進んだりして、かゆみの悪循環に陥ってしまいます。頭皮にかゆみを感じた時は掻きたい気持ちを抑え、かゆい部分を軽くたたいたり、冷やしたり、別のことに意識を向けて気を紛らわせることをおすすめします。

2. 原因が明らかで、炎症がなければ市販薬を利用

日常的にかゆみが気になる場合、頭皮の乾燥(爪を立てた洗髪など)や蒸れ(帽子など)、刺激物の存在(洗浄力の強いシャンプーの日常的な使用など)が疑われます。原因がはっきりしている場合はそれを遠ざけて頭皮の乾燥や荒れ、刺激を防ぐとともに、市販薬を利用するのもよいかもしれません。

3. 医師の診断で、かゆみをもたらす疾患を治療する

原因がよくわからず、頭皮に強いかゆみを伴う炎症が起きている場合は、セルフケアではなく皮膚科を受診することをおすすめします。抗ヒスタミン薬、抗真菌薬、ステロイド剤など、症状に応じた薬で疾患を治療しながらかゆみを抑え、細菌感染を防ぐために抗生物質が処方されるケースもあります。

生活習慣における頭皮のかゆみの予防ポイント

1. 毛穴詰まりを防ぐ

頭皮は他の皮膚に比べて毛穴や皮脂腺が多く、髪の毛で覆われているため皮脂や汗、ホコリ、古い角質などが毛穴にたまりやすい場所です。毛穴が詰まった状態が続くと皮膚常在菌が過剰に増え、フケやかゆみ、臭いが発生するだけでなく、髪の毛の成長を妨げるおそれもあります。毎日の洗髪を丁寧に行い、頭皮の汚れをきちんと落として予防しましょう。また、注意したいのはシャンプーやコンディショナーのすすぎ残しです。しっかり洗い流して毛穴詰まりの原因にしないように気を付けましょう。

2. 頭皮の乾燥を防ぐ

頭皮が乾燥するとバリア機能が低下して、わずかな刺激でもかゆみが生じるようになります。それを掻くと皮膚に傷がつき、皮膚のバリア機能が低下します。するとアレルギー反応を起こしやすくなり、以前よりも容易にかゆみを感じるようになる悪循環に陥りかねません。頭皮環境が悪化することで抜け毛の要因にもなります。 頭皮の乾燥を防ぐには、必要な皮脂まで洗い流すおそれのある洗浄力の強いシャンプーを使わないこと。熱すぎるお湯で洗髪しないこと。1日に何度も洗髪しないこと。紫外線を長時間浴びないこと。乾燥しがちな季節には加湿器を使うことなどを心がけてみましょう。

3. アレルギー反応を起こすものを遠ざける

頭皮のかゆみの原因として、考えられる原因の一つはアレルギー反応です。シャンプーやコンディショナー、整髪剤のほか、ヘアカラー剤でかぶれやかゆみが生じるケースが多いことが報告されています。まずはパッチテストを行ってアレルギー反応が出ないことを確認の上、使用すると安心です。

4. 規則正しい睡眠や食事を心がける

頭皮のフケやかゆみなどの発現は、睡眠不足や偏った食事などに起因していることもあります。なるべく規則正しい睡眠とバランスのよい食事を心がけることが大切です。

<睡眠>

皮膚の代謝や細胞の修復などは、睡眠中に脳下垂体から分泌される成長ホルモンによって活性化すると考えられています。睡眠不足が続いたり睡眠の質が落ちたりすると成長ホルモンの分泌が減少することがあり、その結果、頭皮の新陳代謝が低下することで、フケやかゆみを生じるおそれがあります。

<食事>

脂漏性皮膚炎などの原因となる皮脂分泌量の多い人は、脂肪分の摂り過ぎやビタミン不足の可能性があります。できるだけ脂っこい食事を控え、栄養のバランスを考えた食事を心がけましょう。

5. 頭皮マッサージを習慣化

頭皮マッサージは、適度に行うことで頭皮の血流を改善し、リフレッシュもできるためおすすめです。継続すると育毛によい影響を与えるという報告もありますので、毎晩、湯船の中で行うなど習慣づけるとよいかもしれません。ただし長時間やり過ぎたり、爪を立てて皮膚を傷つけてしまうと逆に頭皮環境を悪化させる可能性があるため注意が必要です。また皮膚に炎症がある場合は、マッサージを行うことは控えた方がよいでしょう。

頭皮と髪の毛のご相談はAGAヘアクリニックへ

頭皮のかゆみを放置していると、頭皮環境が悪化して抜け毛や薄毛を招く場合もあります。かゆみの症状がすべて薄毛に繋がるわけではありませんが、かゆみの原因である頭皮の乾燥などは、間接的に薄毛の要因にもなりかねないので注意が必要です。いつまでもかゆみが続くようであれば、皮膚科などの医療機関を受診されることをおすすめします。

AGAヘアクリニック(以下、当院)では、AGA(男性型脱毛症)や女性の薄毛治療を行うのはもちろん、頭皮環境改善に役立つケトコナゾール含有治療薬や栄養補助サプリメントも処方しています。かゆみだけでなく育毛状態も気になる方は、男性女性を問わずぜひ当院にご相談ください。

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