【医師コメントつき】ポニーテールで薄毛になる? 女性に多い牽引性脱毛症とは
男性の薄毛の原因はAGA(男性型脱毛症)が最も多いといわれています。一方、女性の場合は、生活習慣やホルモンバランスの乱れが薄毛の原因として多いと考えられています。
中でも、女性が罹患しやすい薄毛疾患の一つに「牽引性(けんいんせい)脱毛症」と呼ばれる疾患が存在します。ポニーテールなどの髪型が原因で発症することもある牽引性脱毛症。今回のAGAタイムスでは、牽引性脱毛症について解説していきます。
牽引性脱毛症とは
牽引性脱毛症とは、髪の毛が長時間継続的に引っ張られることで頭皮や毛根に負荷がかかり抜け毛や薄毛を招く脱毛症です。特定のヘアスタイルによる頭皮への負荷が継続することで現れやすくなるとされています。
同じ髪型が続くことで特定の皮膚や毛根に負担がかかり、頭皮の血行不良を招くことが牽引性脱毛症を発症する原因の一つと考えられています。血液は体中の細胞に栄養や酸素を運ぶ役割を持っているため、血行が悪くなると髪の毛を育てる細胞に十分な栄養が行き届きにくくなり、結果的に薄毛を引き起こす可能性があります。
また細胞自体が牽引刺激により障害され、脱毛を引き起こす可能性も考えられます。その他にも、食生活の乱れや睡眠不足、慢性的なストレスなど、生活習慣の乱れが薄毛・抜け毛を増悪させる可能性があると考えられます。
ポニーテールなどの髪型が牽引性脱毛症の原因に
牽引性脱毛症の主な原因は、ポニーテールをはじめとする特定の髪型による負荷だといわれています。では、牽引性脱毛症を引き起こしやすいのは具体的にどのようなヘアスタイルなのでしょうか。
■髪の毛を強く結ぶ髪型
髪の毛を強く結ぶことによって頭皮に負荷がかかります。前述したように、継続した負荷によって傷んだ頭皮は血行不良を引き起こしたり、細胞がダメージを受けたりする可能性があります。ポニーテールやお団子ヘアなど、頭皮を引っ張るようなヘアアレンジを日常的に多用する方は、牽引性脱毛症のリスクが高まるといえるでしょう。
■いつも同じ髪型をしている
髪の毛を強く結んでいない場合でも、いつも同じ髪型・分け目でいると特定の部位にダメージが蓄積し脱毛症状を引き起こす可能性があります。特に髪の毛が長い女性の場合、ショートヘアの女性に比べて髪の毛の重さが重くなるため、頭皮への負担も大きくなると考えられるでしょう。しかし、分け目が毎日同じというだけで牽引性脱毛症になる可能性は低く、分け目から薄毛になっている場合は「びまん性脱毛」による抜け毛・薄毛が生じていることが大半です。
■エクステやウィッグ、ヘアアクセサリーを常用している
エクステとは毛束を地毛の根本に編み込んで髪の毛の長さや毛量を調整できるヘアアレンジです。そのため、エクステ着用時には頭皮へ牽引ダメージがかかります。またエクステをつけた髪の毛をブラッシングする際に無理に強く引っ張ってしまうと頭皮へ負荷がかかり、抜け毛や薄毛につながる可能性があります。
エクステの他、ウィッグやその他のヘアアクセサリーにおいても使用中の頭皮への圧迫の発生が懸念されます。継続的な頭皮の圧迫は血行不良を招き、抜け毛や薄毛を招く恐れもあるため注意が必要です。
- 【牽引性脱毛症で薄毛になりやすい場所】
- ここまでにご紹介したように、牽引性脱毛症はヘアスタイルなどにより髪の毛を強く引っ張ることで生じます。したがって、おでこの生え際や頭頂部の分け目などに薄毛が見られることが多い疾患です。また髪型によっては後頭部の下部にも負荷がかかりやすいため、うなじ(襟足)なども牽引性脱毛症による薄毛が見られる場合もあります。
牽引性脱毛症で薄毛にならないために
【髪の毛の生え際・分け目の負担を減らす工夫】
牽引による頭皮や髪の毛のダメージは、状況によって意識的に予防することが可能です。髪の毛の長い女性はポニーテールやお団子など、毎日同じ位置で同じように負荷のかかるヘアスタイルをしてしまいがちですが、日によって結び目を変えたり、結ばない日を作ったりして、頭皮や髪の毛に負担をかけすぎないようにしましょう。環境や事情によって日常的に髪の毛を結ばなければならない時は、伸縮性の弱いゴムの使用や緩めに結ぶなど、牽引の負荷を緩和させる工夫を取り入れてみてください。
また同じ分け目を継続していることによる牽引ダメージを予防するためには、定期的に分け目を変えることが効果的です。そうすることで特定部位にのみ負担がかかるリスクを回避できます。その他、エクステやヘアアクセサリーは使用する頻度を減らす、ウィッグは外出時のみ着用するなど、物理的に使用する時間を制限し髪の毛や頭皮を休ませましょう。
【食事・運動・睡眠などの生活習慣にも気を配る】
前述した予防方法と並行して、生活習慣にも気を配る必要があります。食事の栄養バランスを重視し、脂質や添加物の過剰摂取を避け、タンパク質やビタミン類といった頭皮や髪の毛に有用な栄養素を積極的に摂取することが大切です。
また適度な運動は血行を促進するだけでなく、ストレス解消や質の良い睡眠へもつながります。質の良い睡眠は成長ホルモンの分泌に影響するといわれています。成長ホルモンは体の機能や細胞の回復を促すとされており、髪の毛の成長にも大きく関係しています。そのため、食生活と同様に意識して改善を心がけるとよいでしょう。
牽引性脱毛症と聞くと、一部分だけが脱毛しているから罹患すればすぐにわかるだろうと思っている人が多いかもしれません。しかし実際にはポニーテールですと前額部から側頭部までが全体的に脱毛していたり、円形脱毛症だったりと自分での判断が難しいことも多々あります。先述のように分け目が広くなってきた場合には牽引性脱毛症よりも先ず他疾患が疑われます。牽引性脱毛症が疑わしく、かつ急激に薄毛が進行していないようであれば原因となる習慣を見直しましょう。それでも薄毛が拡大しているようであれば薄毛の専門病院を受診することをお勧めします。
髪型・分け目をこまめに変えて牽引性脱毛症を予防しよう
数回ほど負荷がかかりやすい髪型にしたからといって、牽引性脱毛症になるわけではありません。しかし長い期間、一定の方向に髪の毛を引っ張り続けると牽引性脱毛症のリスクを高めることに繋がります。髪型は定期的に変えるなど工夫をしましょう。
髪型を改善しても薄毛が治らない場合、その他の原因によって薄毛が引き起こされている可能性も考えられます。そのような場合は薄毛治療の専門クリニックを受診することをおすすめします。AGAヘアクリニックでは、何度でも無料でカウンセリング・診察を行なっております。また個室での診察となるため、初めての方でも安心してご来院いただけます。薄毛でお悩みの方はぜひ一度、当院へお越しください。