【医師が教える】薄毛の予兆？ 軟毛化現象の症状と原因、その予防法について

「最近、髪の毛がうまくセットできなくなってきた」「ハリがなくなったように感じる」「以前より髪が細くなったかも……」と感じるようになってきた場合、もしかしたら髪の毛の“軟毛化”が始まっているのかもしれません。

髪の毛の軟毛化は男性の場合は部分的に、女性の場合は全体的に症状が現れるといわれています。特に男性に起きる軟毛化は、“AGAの初期症状”ともいわれており注意が必要です。今回のAGAタイムスは、AGAや薄毛の初期症状とされる軟毛化現象の症状と原因、予防法についてご紹介していきます。

AGA（男性型脱毛症）とは

成人男性に多くみられる脱毛症の一種「AGA（男性型脱毛症）」。AGAの主な原因は男性ホルモンや遺伝と考えられており、AGA自体は治療が可能な脱毛症状としても知られています。

AGAはテストステロンという男性ホルモンが「5αリダクターゼ」という酵素と結びつくことで「ジヒドロテストステロン（DHT）」という物質になることから始まります。このDHTは「アンドロゲンレセプター」と呼ばれる受容体と結合し、髪の毛を育てる毛母細胞の細胞分裂を抑制してしまいます。

本来であれば髪の毛はしっかりと成長期を終えて脱毛し、のちに生まれる新しい毛母細胞が毛乳頭細胞から養分をもらい、細胞分裂によって髪の毛を生成するという成長サイクルに入っていきます。しかしDHTの影響により髪の毛の生成が阻害されてしまうと、髪の毛が十分に成長できず軟毛が多くなり薄毛が目立つようになってしまうのです。

軟毛化について

通常のヘアサイクルは大きく3つの周期に分けられます。まず毛母細胞が分裂を繰り返し髪の毛が成長する「成長期」があり、そのあと髪の毛の成長が徐々に止まっていく「退行期」に移行。そして最後の「休止期」に入ると髪の毛の成長がストップし、下から新しく生えてくる髪の毛によって古い髪の毛が抜け落ちていく。これが、髪の毛が抜けるまでの一連のサイクルです。

しかしAGAの影響により成長期が極端に短くなると、髪の毛が成長しきる前に抜け落ちてしまいます。軟毛化とは、このようなヘアサイクルの短縮で髪の毛が十分に成長できないことで起こる現象です。

また上記のような過程を何度も繰り返すうちに、どんどん毛包が縮小してしまう“毛包のミニチュア化”も起こります。徐々に細く短い髪の毛しか育たなくなり、最終的には毛包がフケとして剥がれ落ち、なくなってしまいます。毛包が欠落するとそこからは新しい髪の毛が生えてこなくなってしまうため、AGA治療は早いうちに始めるべきといわれているのです。

軟毛化はAGAの初期症状

先にも触れている通り、軟毛化はAGAの初期症状にあたります。

AGAは症状の進行度によって大きく7つのパターンに分けられますが、これを「ハミルトン・ノーウッド分類」と呼び、AGA治療の際に進行度をはかる世界的基準として用いられています。また日本人の場合は欧米人にはあまりみられない、頭頂部の薄毛のみが進行するパターンが多く存在するため、日本ではハミルトン・ノーウッド分類に「vertex」というパターンを加えた「高島分類」が広く利用されています。

Ⅰ型の時点での症状は、見た目には問題のない程度に生え際が後退するといったもの。髪型によっては非常に気付きにくいため、AGAの初期症状が現れている自覚がない人もいます。

しかし、Ⅱ型まで進行すると現れるのが“軟毛化”の症状です。Ⅰ型で起こる生え際の進行に加え、髪の毛からハリやコシがなくなる、髪全体のボリュームが減っていくという症状も出てくるように。また軟毛化だけでなく頭頂部や額など、いわゆる「てっぺんハゲ」や「M字ハゲ」と呼ばれるような脱毛症状も目立つようになり、この段階で薄毛に気付き始める人も多いといわれています。

AGA治療はⅢ型までに始めるのがおすすめ

Ⅲ型の進行度になると額部分や頭頂部などに薄毛の症状が顕著に現れはじめ、他人から見ても変化が分かるように。Ⅳ型以降の進行度になると毛量がぐっと減り、治療の効果が出るまでに時間がかかってくるため、治療はⅢ型までに開始するのがおすすめです。

進行パターンのⅥ型やⅦ型ともなると、額と頭頂部の薄毛が完全につながり、一見するとどの脱毛タイプか判断しにくいほど薄毛部分の割合が大きくなります。この段階では発毛が難しくなってしまうため、植毛や増毛、ウィッグなど人工的に毛量を増やしたりボリューム感を出すような方法を選ぶ人も増えます。

AGAの症状を段階的に見ていくと、Ⅱ型の症状として現れる軟毛化の時点で早めに治療を始めることが賢明な選択であることがよく分かるのではないでしょうか。

これ以上の進行を防ぐ！ 軟毛化に気づいたら早めの治療を

「最近髪の毛にハリがなくなった」「全体的にボリュームダウンしてきた」など軟毛化の症状が現れ始めたら、一度AGAの可能性を疑ってみてもよいでしょう。基本的に薄毛治療を行う場合、髪の毛がまだ生えている状態でスタートした方がより効果を実感しやすくなります。

“弱々しくなっているものの、髪の毛は生えている”という段階で治療を行うことができれば、髪の毛は健やかな状態に戻りやすいとされています。健康的な髪の毛を長く保つためにも、軟毛化の自覚症状がある場合はできるだけ早く病院に足を運んでみてください。

AGAヘアクリニックは、AGA・薄毛治療専門の病院です。豊富な薄毛の知識と多くの症例をもとに薄毛の原因を導き出し、患者様お一人おひとりの症状に合った最善の治療を提案しています。全室個室の診察室を完備しており、完全予約制なので他の患者様と顔を合わせることがほとんどありません。一般的な皮膚科よりもプライバシーに配慮された院内であるため、薄毛治療が初めての方でも安心しやすい環境です。診察や相談は初診に限らず何度でも無料で行なっておりますので、薄毛が少しでも気になる方は、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。