【医師が教える】唐辛子に含まれるカプサイシンと薄毛の関係
一味やキムチの原材料としておなじみの唐辛子には、「カプサイシン」という成分が含まれています。カプサイシンは代謝を高める作用をもつことでよく知られていますが、育毛にも効果が期待できるといわれています。今回のAGAタイムスでは、カプサイシンの作用や育毛にもたらす影響などをご紹介します。
カプサイシンとは
カプサイシンとは舌の痛覚を刺激することで辛味として認識される、唐辛子などに含まれる辛味成分の一種です。エネルギー代謝に関わるホルモンの分泌を促進することで脂肪の燃焼を助けたり、肥満予防に効果が期待できる成分として注目されています。
カプサイシン類には胡椒に含まれるピペリンやシャビシン、山椒に含まれるサンショオールなどがあり、その種類はさまざまです。唐辛子の場合、カプサイシンは主に種やヘタの部分に含まれており、品種によっても含有量が異なります。
カプサイシンは気体になりにくく、加熱しても壊れにくいという特徴があります。そのため唐辛子を砕いて粉末状にしても加熱調理をしても、辛味が減ることはないとされています。
カプサイシンの作用
カプサイシンは消化管から吸収され血中に入ると、脳や脊髄などの中枢神経を刺激してアドレナリンの分泌を促進するといわれています。この働きによりエネルギー代謝が活発となり、代謝などに好影響を与えると考えられています。
またカプサイシンには末梢血管の血流を改善し、発汗を促したり体を温めたりする効果があるとされています。唐辛子成分の入った温湿布や入浴剤はこの働きを応用したものといえるでしょう。
カプサイシンと薄毛の関係
髪の毛は、血液から酸素や栄養素を受け取った「毛母細胞」が細胞分裂を繰り返すことで成長します。しかし血行不良に陥ると栄養が頭皮まで十分に行き渡らなくなり、正常な育毛が妨げられたり抜け毛や薄毛といった症状に繋がる可能性があります。また、薄毛や抜け毛を予防するためには育毛に適した頭皮環境を維持することが重要です。カプサイシンには血流改善の効果が期待できるため、正常な育毛を促すことや、育毛に適した頭皮環境作りに役立つことが考えられます。
また薄毛の原因の一つに、インスリンと似た構造や作用を持つ成長因子「IGF-1」の減少が考えられます。IGF-1は細胞の増殖を促進させたり、髪の毛を成長させたりする働きを持つ成長因子であるため、IGF-1が増えることで育毛効果が期待できるといえます。
知覚神経が刺激されるとCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質が放出され、IGF-1(インスリン様成長因子-1)が増加します。カプサイシンは胃の知覚神経に刺激を加える作用があるため、一部ではカプサイシンの摂取によってIGF-1が増え、育毛や発毛に効果的であるという見解も見られますが、カプサイシンの経口摂取によって毛乳頭でのIGF-1が増加するという事実は未だ明らかになっていません。
現在、カプサイシンと薄毛の関係性は未知数であるものの、カプサイシンと類似の構造・作用を持つ「ラズベリーケトン」という成分を皮膚に塗布すると知覚神経が刺激され、CGRPが上昇しIGF-1も上昇するという報告があります。今後の研究によってはカプサイシンによる育毛効果が証明されるかもしれません。
カプサイシンの過剰摂取には注意
カプサイシンには健康効果や育毛効果が期待できますが、唐辛子やカプサイシンを含む加工品の過剰摂取によって起こる症状もさまざま報告されているため、摂取量には注意が必要です。
カプサイシンの過剰摂取により起こる症状には、流涙症や鼻漏、排尿障害、胃食道逆流症などがあります。また子どもや感受性の強い人は粘膜炎や吐き気、嘔吐、高血圧症状などが起こりえます。
辛さの感じ方には個人差があるため、少量であっても辛さや痛みを感じることがあります。唐辛子を使用した料理やカプサイシンを含む加工食品などを食べる際は適量にとどめ、多量に摂取しすぎないよう注意することが大切です。
薄毛の改善には治療という選択肢も
カプサイシンなど健康維持や育毛に期待が持てる食材を取り入れたり、日頃の食生活を見直しても薄毛や抜け毛が改善されない場合は、AGA(男性型脱毛症)を発症している可能性があります。AGAは男性ホルモンが主な原因であるため食生活を見直すだけでは改善することができませんが、医療機関で治療を行うことで改善が可能な脱毛症です。
AGAによる薄毛や抜け毛の症状は進行具合や進行パターンに個人差があるため、AGAヘアクリニックでは一人ひとりにあった適切な治療プランをご提案しています。カウンセリングや診察は無料で行なっているため、お気軽にご相談いただけます。薄毛や抜け毛のお悩みを改善したいという方は、ぜひ一度当院までお越しください。
出典・参考URL
- カプサイシンに関する情報 - 農林水産省
- カプサイシンに関する詳細情報 - 農林水産省
- カプサイシン - わかさ生活
- Non-pungent Capsaicin Analogs (Capsinoids) Increase Metabolic Rate and Enhance Thermogenesis via Gastrointestinal TRPV1 in Mice - 京都大学 農学研究科・農学部
- Capsinoids and Related Food Ingredients Activating Brown Fat Thermogenesis and Reducing Body Fat in Humans - 天使大学 看護栄養学部 栄養学科
- Effect of Topical Application of Raspberry Ketone on Dermal Production of Insulin-Like Growth factor-I in Mice and on Hair Growth and Skin Elasticity in Human - 名古屋市立大学大学院医学研究科・医学部