【医師が教える】ナイアシンと抜け毛の関係は? 多く含む食品や抜け毛の対策方法も紹介
近ごろ、美白やアンチエイジングを目的として注目されている「ナイアシン」。炭水化物や脂肪など体内のさまざまな物質の処理や代謝、細胞の正常な機能に必要不可欠な栄養素といわれており、ビタミンB群に分類される水溶性のビタミンです。健やかな頭皮環境や育毛において重要な役割を担うとされる“ビタミンB群”ですが、果たしてこのナイアシンも抜け毛や薄毛に影響するのでしょうか?
今回のAGAタイムスでは、ナイアシンと抜け毛・薄毛の関係性について解説していきます。
ナイアシンとは
ナイアシンは「ナイアシンアミド(ニコチンアミド)」と「ナイアシン(ニコチン酸)」の総称です。
前述の通り、ナイアシンは水溶性ビタミンであり体内に貯蓄しておくことができないため、不足しないよう食事などから日常的に摂取して補う必要があります。また500種以上の酵素の補酵素として、エネルギー産生、糖質、脂質、タンパク質の代謝、肪酸やステロイドホルモンの生合成、DNAの修復や合成、アルコールの代謝など、さまざまな機能に関わっている栄養素です。
ナイアシンが不足するとうつ、幻覚症状、イライラ、不安、精神障害、口内炎、皮膚炎、舌炎、胃腸障害、下痢、ペラグラ(※)などの症状を引き起こすとされています。
※: 日焼けに似た暗赤色の発疹が左右対称にみられる症状で、日光にあたると悪化する(光線過敏症)。皮膚の異常は長く続き、病変部位は茶色に変色してうろこのようになることがある。皮膚以外にも、消化管や脳に影響を及ぼす。
ナイアシンと抜け毛の関係
ナイアシンには毛細血管を広げて血行を改善させる作用があります。このような作用から、体全体ひいては頭皮の血液循環を良くして、健やかな育毛に必要な頭皮環境を整える効果が期待できます。
またナイアシンを含むビタミンB群の不足は、間接的に抜け毛・薄毛の原因になる可能性があります。ナイアシンをはじめ、ビタミンB2・ビタミンB6・ビオチンなどのビタミンB群は適度な摂取で皮膚の健康状態を保ちやすくなると考えられています。健やかな髪の毛の成長のためには頭皮の健康も不可欠であるため、抜け毛や薄毛の予防にはナイアシンを含むビタミンB群が不足しないよう、食事などから適量を摂取することが大切です。
- 鶏むね肉
- カツオ
- たらこ
- マグロ
- レバー(豚・牛)
- 鶏ささみ
- 落花生
- まいたけ など
◆ナイアシンを多く含む食品◆
ナイアシン(ビタミンB群)不足以外の抜け毛の原因
ナイアシンなどビタミンB群と抜け毛・薄毛の関係性について解説してきましたが、その影響はあくまで間接的であるため、ビタミンB群が不足したからといって急に抜け毛が増え、薄毛が進行するとは考えにくいでしょう。
顕著な抜け毛や薄毛の進行の原因は、ビタミン不足以外にもさまざまな要因が考えられます。
■脱毛症などの疾患
抜け毛の原因としてまず考えられるのは脱毛症です。脱毛症は円形脱毛症、脂漏性脱毛症、薬剤の副作用によるものなど色々ありますが、ここでは「AGA(男性型脱毛症)」と「FAGA(女性の男性型脱毛症)」について解説していきます。
- ー AGA(男性型脱毛症)
- AGAは特に成人男性に多くみられる脱毛症の一種です。現在では、薄毛や抜け毛に悩む男性のほとんどがAGAであるといわれています。
- AGAは主に男性ホルモンに起因して発症する疾患ですが、男性ホルモン以外にも遺伝や生活習慣などさまざまな要因が関わっていると考えられています。一般的に額の生え際や頭頂部のつむじ周辺から抜け毛が起こるとされており、進行性の脱毛症であるため時間をかけて少しずつ薄毛が進んでいくのが特徴です。
- AGAを発症した場合は何らかの治療を施さない限り薄毛が進行し続けてしまうため、早い段階での診察・治療が推奨される脱毛症です。
▼AGAについてもっと詳しく知りたい方はこちらも併せてご一読ください。
AGA(男性型脱毛症)とは? 原因や治療薬、治療法まで徹底解説AGA(エージーエー)とは — AGAヘアクリニック- ー FAGA(女性の男性型脱毛症)
- FAGA(女性の男性型脱毛症)とは女性の薄毛の総称を指す言葉で、現在では「FPHL(Female Pattern Hair Loss/女性型脱毛症)」とも呼ばれています。FAGAはAGAのように局所的な脱毛が起こるわけではなく、頭部全体が薄くなっていくという特徴のある脱毛症です。
- AGAと同じくホルモンが関係するといわれていますが、原因はまだはっきりとは特定されていません。FAGAは広範囲にわたって症状が現れるため視診のみでは特定が難しく、このような脱毛疾患を「びまん性脱毛」といいます。FAGAのようにびまん性の脱毛を引き起こす疾患には、過度のダイエットによる栄養不足や膠原病のような全身疾患によるもの、ホルモンバランスの乱れ、生活習慣やストレスによるもの、経口避妊薬(ピル)といった薬剤性のものなどがあります。
▼FAGAについてもっと詳しく知りたい方はこちらも併せてご一読ください。
女性の薄毛、FAGA(FPHL)とは?原因や治療薬を詳しく解説■生活習慣の乱れ
抜け毛や薄毛の原因としては、生活習慣の乱れも考えられます。
栄養バランスの偏った食事は、髪の毛を生成するために必要な栄養の不足を招き、髪の毛の健やかな成長を阻害して抜け毛や薄毛につながりかねません。過剰なダイエットによる栄養不足も同様です。さらに運動不足などによる血行不良や過度な飲酒、喫煙なども頭皮への栄養供給が滞り、ヘアサイクルが乱れる原因になり得ます。
また慢性的な睡眠不足も抜け毛を引き起こしかねません。睡眠中に特に多く分泌される成長ホルモンは細胞の修復や代謝の促進など、私たちの体を心地よく保つためにさまざまな働きをしてくれています。しかし慢性的な睡眠不足により成長ホルモンの分泌が正常になされなくなると、髪の毛を生成する細胞の働きを阻害する可能性があります。
■ストレス
ストレスの影響で自律神経が乱れると血圧の変動や血流の悪化が起こり、髪の毛が育ちにくくなってしまう可能性があります。また自律神経が乱れることでホルモンバランスに悪影響を及ぼすことも考えられるため、抜け毛や薄毛においては避けるべき悪習慣といえるでしょう。
また生活習慣の乱れのひとつである慢性的な睡眠不足も、ストレスの要因にもなる可能性があります。
■遺伝的な要因
AGAによる抜け毛や薄毛の場合は、遺伝的な要素も考えられます。
AGAは男性ホルモンの一種「テストステロン」が体内の「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」によって「DHT(ジヒドロテストステロン)」へと変化し、男性ホルモン受容体「アンドロゲンレセプター」と結合することによって発症します。このアンドロゲンレセプターにまつわる遺伝子情報が、AGAの発症に関係しているといわれているのです。
アンドロゲンレセプター遺伝子は母親から必ず引き継がれる性染色体「X染色体」上に存在するといわれており、そのX染色体が“どの程度AGAになりやすい要素を持っているか”で子のAGA発症リスクの高さが変わります。
しかしながらAGAの発症には遺伝以外の要因も関わっているため、AGAに関する遺伝子を持っているからといって、必ずしもAGAを発症するわけではありません。
▼AGAの遺伝についてもっと詳しく知りたい方はこちらも併せてご一読ください。
【医師が教える】「AGAは母方の遺伝子が関係する」説のメカニズムとは今すぐできる抜け毛対策とは
抜け毛や薄毛を防ぐための対策として、以下のような習慣を生活に取り入れてみるとよいでしょう。
■食生活に気をつける
偏った栄養バランスの食事や暴飲暴食はやめましょう。抜け毛の原因でも説明したように、髪の毛の成長に必要な栄養素が不足すると育毛に悪影響を及ぼす可能性があります。
また脂質の過剰摂取は頭皮の皮脂分泌量を増やし、脂漏性皮膚炎などのリスクを高めるため、頭皮環境の悪化につながりかねません。タンパク質、ビタミン類、ミネラル類などを取り入れながら、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。
■頭皮のマッサージを行う
頭皮マッサージには血行の促進、自律神経を整えてリラックスさせる効果などが期待できます。健やかな頭皮環境を育むことで抜け毛の予防につながるため、積極的に習慣づけるとよいでしょう。
自身で行うのも良いですが、リラックス効果を高めるためにもサロンなどでヘッドスパを受けるのもおすすめです。上記の効果に加えて頭皮の毛穴汚れの解消など、より良い頭皮環境へのサポートにもなります。
■しっかり睡眠をとる
体と脳をしっかり休め、体の働きを正常に保つためには良質な睡眠が必要です。まずは、おおよそ6〜8時間程度の十分な睡眠時間を確保すること。また、入眠前に心身をリラックスさせて睡眠の質を高めることを意識しましょう。
- 就寝直前の飲酒を控える
- 入浴ではなるべくぬるめのお湯にゆっくり浸かる
- 就寝前3~4時間以内はできるだけカフェインを避け、軽くあたためた牛乳などを飲む
- ラベンダーなど鎮静作用のある香りを利用する
- 寝室は蛍光灯の昼白色や昼光色のような白い照明をなるべく避け、明るくしすぎない
- 就寝直前はPCやスマートフォンなどが発するブルーライトを避ける
◆良質な睡眠のために取り入れたい習慣◆
■ストレスケアをする
ストレスは溜め込まないことが重要とされていますが、ストレスには筋疲労などの因果関係が明確なものから個人差が生じる心理的なものまで原因が多様に存在します。無意識のうちにストレスを溜め込んでしまうケースも少なくないため、心身の健康に対する自己管理が必要といえるでしょう。
心身がストレス状態にある時は主に交感神経の活性が優位になります。そのため、適度な運動をする、好きな音楽を聴くなど、自分なりのリラックス方法を見出し、副交感神経の働きを活性化させるのがおすすめです。
■医療機関を受診する
ここまでは自身で行える対策について説明してきましたが、抜け毛や薄毛において最も重要なのは早期に原因を特定し、対処することです。例えばその抜け毛の原因がAGAなど進行性の疾患であった場合、気が付いた頃にはかなり進行しており、治療が難航してしまうということもあります。
どのような原因による抜け毛であっても、対処が早ければ早いほど状態が好転する可能性は高まるとも考えられるため、すこしでも抜け毛や薄毛が気になるという方は、皮膚科や薄毛治療専門クリニックなどの医療機関に足を運んでみることをおすすめします。
抜け毛でお悩みなら薄毛治療専門クリニックへ
抜け毛や薄毛で悩んでいるのであれば、まずは一度医療機関で原因を調べるのが得策です。治療が必要であった場合は治療をしながら、そうでない場合も対策として、抜け毛対策を積極的に取り入れてみてください。
AGAヘアクリニックでは、診察・カウンセリングを無料で実施しています。患者様お一人おひとりにあった治療方針を提案し、薄毛の進行状況に合った治療薬を処方しているため「薄毛治療の専門病院は初めて」という方も安心してご来院いただけます。
またナイアシンをはじめとするビタミンB群など、健やかな頭皮環境や育毛環境のために必要な栄養素や食生活などについてもお気軽にご相談いただけます。少しでも気になることがある方は、ぜひ一度当院に足を運んでみてください。