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【医師が教える】ミトコンドリアで髪の毛を活性化? 毛乳頭細胞への影響を解説

生活ケア

生物の細胞内に存在する「ミトコンドリア」。耳にしたことはあっても、それが何なのかは知らないという方も多いのではないでしょうか。ミトコンドリアは私たちが生きていく上で欠かすことのできない器官です。そんなミトコンドリアですが、最近の研究で育毛に良い影響をもたらすことが分かり注目を浴びています。

今回のAGAタイムスではミトコンドリアの概要や髪の毛への影響、ミトコンドリアを活性化させる方法などをご紹介します。

ミトコンドリアとは

【ミトコンドリアの概要】

ミトコンドリアは、人間を含む真核生物のほとんどの細胞の中に存在する細胞小器官。粒子状や糸状の形をしており、外膜と内膜という2枚の脂質膜で覆われた二重膜が特徴です。大きさはおよそ0.5~1μm(マイクロメートル)で細胞全体の約10〜20%を占めています。

一つの細胞に対するミトコンドリアの数は決まっていませんが、とくに脳や心臓といったエネルギー代謝が活発な臓器に多く、一つの細胞内に数百から数千個存在しています。またミトコンドリアの特徴として運動などによってその量が増減することが挙げられます。

【ミトコンドリアの歴史】

細胞の一つひとつにはDNAが存在していますが、実はミトコンドリアや同じ細胞小器官である葉緑体はそれぞれ独立したDNAを有しています。というのも、もともとこれらは私たちの祖先となる真核生物とは別の独立した生物であったためです。

ミトコンドリアは、プロテオバクテリア(好気性細菌の一種)という原核生物でした。約20億年前にある真核生物がプロテオバクテリアを取り込み宿主(※)となったことで宿主の細胞の中でミトコンドリアへと変化しました。

※しゅくしゅ。共生する相手を取り込んだ生物のこと。

このように独立した生物同士が細胞内共生することにより、現在の細胞の形が成り立ちました。そこから長い時間を経て生物はさまざまな姿へと進化し、今の私たちがあるのです。

【ミトコンドリアの役割】

体を動かしたり食べ物を消化したり、私たち人間は日々さまざまなことにエネルギーを使っていますが、そのエネルギーを生み出しているのがミトコンドリアです。このことから、ミトコンドリアは細胞内の発電所と例えられることもあります。

食事から摂った炭水化物や脂肪などが分解・変換されて生成される「アセチルCoA」という物質がミトコンドリアに入り、さらに様々な物質に変換されながら水と炭酸ガスになります。この変換過程で生ずる水素と酸素の反応が利用され「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質が合成されます。このATPは細胞の増殖や筋肉の収縮、植物の光合成、菌類の呼吸および酵母菌の発酵などの代謝過程においてエネルギーを供給するためにすべての生物が使用する化合物です。したがって、このATPの製造工場であるミトコンドリアは私たち人間を含め、あらゆる真核生物が生きる上で欠かせない役割を果たす器官であるといえます。

~「ATP」とは~

ATPは体内に貯めておくことができないうえ、合成されてから1分以内には消費されてしまいます。そのため激しい運動をするとATPが不足し、多量のATPを補給しなければならなくなります。その際に多量の酸素が必要となるため、呼吸が荒くなるのです。

生きている限りATPは常に必要になるため、体中のあらゆるミトコンドリア内では休むことなくATPが作られ続けています。その量はなんと1日50~100kg。しかし、大量にATPが減るからといって体重が減ることはなく、その分の栄養補給が必要になることもありません。というのも、エネルギーを放出したATPは「ADP(アデノシン二リン酸)」という物質に変化しますが、即座にリン酸を一つくっつけることで再びATPに合成され繰り返し利用されているためです。

こうして、ATPはめまぐるしい速度でエネルギー放出や分解、合成を繰り返し生物の生命維持に役立っています。そんなATPですが、実は近年の研究において髪の毛の生成に深い関わりがあることが分かりました。

ミトコンドリアの活性化と育毛の関係

毛包形成や毛周期の成長期では活発な細胞運動や細胞分裂が行われるため、多くのエネルギーが必要になります。かねてより、そうした細胞機能ではミトコンドリアの働きが深く関わっていると考えられてきましたが、詳しいメカニズムは判明していませんでした。

しかし近年『株式会社サラヴィオ化粧品』が行った研究によると、ミトコンドリアの活性化が髪の毛の元となる毛乳頭細胞の活性化に繋がることが分かりました。その研究では、毛包の形成や毛周期における成長期誘導因子「PDGF-AA」が、毛乳頭細胞において「線維状ミトコンドリア(※)」を活性化させていることが明らかに。

※毛乳頭細胞内に存在する線維状のミトコンドリア。毛乳頭細胞内にはほかにも円形のミトコンドリアが存在する。

毛乳頭細胞は、遊走(※)の際にミトコンドリアから生成されるATPを利用します。そのためPDGF-AAは、より多くのATPを産生する線維状ミトコンドリアを毛乳頭細胞内に誘導する役割を担っているのです。これらの研究結果から、毛乳頭細胞の活性化においてミトコンドリアの働きが大きな影響を与えるということが分かります。

※細胞などが生体内のある場所から別の場所に移動すること。

ミトコンドリアを活性化させる4つの方法

運動不足をはじめ、偏った食事など生活習慣が乱れた状態が続いたり、老化が進行したりすると体内のミトコンドリアの数が減少するといわれています。ミトコンドリアが減少するとエネルギーが不足し、細胞の活動が低下します。

脳の神経細胞の働きが低下すれば、見る聞くなど物事を理解したりすることに障害が出ます。心臓の細胞であれば、血液を全身に送ることができなくなることも。筋肉の細胞の場合は、運動が困難になったり、疲れやすくなるなどの症状が現れる恐れもあります。このような事態を避けるためにはミトコンドリアを活性化し、増殖させる必要があります。

①食生活の改善

ミトコンドリアと食事には密接な関わりがあります。まず初めに食事において気を付けるべき点は空腹の時間をつくること。人間の体には「オートファジー」という細胞内の古くなったタンパク質が、新しく作り替えられる仕組みがあります。オートファジーは体や細胞が強いストレスを受けても稼働できるよう、体内に組み込まれたシステムです。そのため、空腹時など細胞が飢餓状態になったときや低酸素状態になったときにこそ働きが活発になります。ミトコンドリアにもこの細胞内の自食作用が適用されるため、オートファジーによって増殖や働きの活性化に期待ができるのです。

空腹とはいっても、無理な断食などは必要ありません。オートファジーを活発化させるためには16時間ほど空腹の時間が必要といわれています。長く感じてしまうかもしれませんが、睡眠時間を含めることも可能なので少し意識すれば誰にでも行える健康法です。

次に気を付けるべき点は糖質を摂りすぎないこと。ミトコンドリアを活性化させる物質のひとつに「ケトン体」があります。ケトン体というのは食材には含まれておらず、中性脂肪を原料に肝臓が創りだす中間代謝産物です。通常であれば人間の体は食事で摂取した糖質を分解してエネルギー源として使いますが、それがなくなると体内の脂肪を分解し、ケトン体を生成します。そのため、糖質を多く摂取しているとケトン体はなかなか生成されません。

一部で「糖質制限が体によい」といわれているのは、糖質が下がることでケトン体の濃度があがり、それがミトコンドリアでエネルギー源となって代謝効率が良くなるため。つまり、ミトコンドリアが活性化するためです。ミトコンドリアを活性化させたいのであれば、糖質の過剰な摂取は避けましょう。

もちろん、人間の体にとって糖質は必ず必要になる栄養素なので、全く摂取してはいけないというわけではありません。適量を守りつつ、摂取するのであればミトコンドリアの働きを鈍らせにくい糖質を摂るのがおすすめです。果物にはケトン体と同じくミトコンドリアを活性化させる化合物「有機酸」が多く含まれています。同じ糖質を摂取するのであれば砂糖より果物を優先的に選ぶなど、摂取する糖質を意識してみるとよいでしょう。

②有酸素運動をする

ミトコンドリアは運動をすることで増殖するといわれています。とくにウォーキングやジョギングなどをはじめとする有酸素運動が有効で、このときのポイントはややキツめの負荷に設定すること。実は細胞の中には“細胞内のATPの量”を監視している酵素があります。通常のウォーキングなどの場合はそれほどエネルギーを使わないのでATPが不足することはなく、この酵素が働くことはありません。しかし、少し負荷がかかる程度の運動をすることでATPが不足し、酵素が働きだすように。そして、より多くのATPを作るためにミトコンドリアが分裂し、増殖していくのです。

外に出て運動するのが面倒なら、家の中でスクワットを10回するだけでも大丈夫です。酵素が一度働き出すと一定時間その効果が続くため、小まめに繰り返すことでミトコンドリアが着実に増えていきます。目安となる運動量は1週間に合計60分間積み重ねられるのが理想的。ただし、どの運動でも息が上がりすぎると無酸素運動になってしまうので負荷をかけすぎずに行うこと。

③正しい姿勢をとる

ミトコンドリアは、姿勢を保持する際に使う背筋や太もも周りの筋肉に多く存在しています。そのため座っているときや立っているときに背筋を伸ばして良い姿勢をキープするだけでも、ミトコンドリアの増殖・活性化が期待できるのです。

姿勢を正す行為自体は一見するとなんて事のない動作に感じるかもしれませんが、一定の姿勢をキープするためにはそれだけ背中の筋肉を意識して使い続ける必要があります。したがって、姿勢を維持するだけでも持久的なトレーニングとなり、多くのミトコンドリアが刺激されてエネルギーが生み出されやすくなると考えられています。

姿勢やバランスを鍛える運動としては、とくにバレエ、日本舞踊、太極拳、ヨガ、ジャズダンス、エアロビクスなどが適しているといわれています。

④寒い環境に身を置く

人の体は寒さを感じると、“エネルギーを産出しなければ危険”と認識する仕組みになっています。寒冷刺激は脳を介して交感神経の働きを促進させ、神経終末から発される「ノルアドレナリン」によって褐色脂肪細胞のミトコンドリアに存在するタンパク質を活性化してエネルギー(熱)を生み出すのです。

そのため、ミトコンドリアを増やすためには意識的に寒さを感じることが重要になります。寒冷刺激を受けるための方法としては、サウナの後に水風呂に入る、また寒中水泳や乾布摩擦を行うなどの方法が推奨されているようです。しかし、寒さは度が過ぎると体に害を及ぼします。寒暖差によって血圧が急激に変動すると「ヒートショック」という重篤な健康被害が起こる可能性もあります。最悪の場合は死をもたらすケースもある症状なので、寒冷刺激を受ける方法を実践する場合は十分に注意してください。

これらの方法は、すべて“無理はしない”という大前提の元にご紹介しています。また、体調が優れない方や持病がある方はかかりつけの医師に相談する、もしくは行わないほうがよいでしょう。例えば糖尿病で低血糖のリスクがある人は空腹時に運動してはいけませんし、循環器疾患を抱えている方も激しい運動は控えなければならなりません。

上記の方法は、あくまでも目安として自分が無理なく実践できる範囲で行なうようにしてください。

育毛ケアは健やかな体作りから! 薄毛治療は病院へ

ミトコンドリアには、毛乳頭細胞に働きかけ健やかな育毛環境を整える役割があることが分かりました。そんなミトコンドリアを活性化させるためには、正しい姿勢や有酸素運動など、そもそも体を健康に保つための努力が必要です。育毛に適した頭皮環境を整えられるよう、まずは健やかな体づくりから意識してみてはいかがでしょうか。

ただし、健やかな肉体を手に入れるだけで薄毛が治ったり、髪の毛が増えたりするわけではないので過度な期待は禁物です。すでに進行している薄毛の改善には早めの治療が必要になります。薄毛を克服したい、治療したいとお考えの場合は、まずAGA・薄毛治療専門の病院に相談することをおすすめいたします。

AGAヘアクリニックは、豊富な薄毛の知識と多くの症例を基に薄毛の原因を導き出し、患者様お一人おひとりの症状に合った最善の治療を提案しています。全室個室の診察室を完備しており、完全予約制なので他の患者様と顔を合わせることがほとんどありません。一般的な皮膚科よりもプライバシーに配慮された院内であるため、薄毛治療が初めての方でも治療が始めやすい環境です。診察や相談は初診に限らず何度でも無料で行なっておりますので、薄毛が少しでも気になる方は、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

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