【医師が教える】わかめを食べれば髪の毛が生える? わかめに含まれる栄養素や髪の毛との関係性を解説
目次
わかめに発毛効果はないが髪の毛に必要な栄養素は含まれている
「わかめを食べれば髪の毛が生える」そう聞いたことがある方は多いかもしれません。しかしこの話に医学的根拠はなく、わかめを食べたからといって髪の毛が生えるという事実はありません。
とはいえ、わかめにはたくさんの栄養素が含まれているのも事実。髪の毛を生成するのに良い影響を与える「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン類」などの栄養素が含まれており、日々の食事に取り入れたい食材の一つです。タンパク質、亜鉛、ビタミン類がどのような働きを持つのか確認していきましょう。
〇髪の毛の主成分となるタンパク質
髪の毛の約80%は「ケラチン」と呼ばれるタンパク質から構成されています。そのため、タンパク質は髪の毛の健やかな成長に欠かせない栄養素です。タンパク質といえば肉や魚などに含まれるイメージを持つ方も多いかと思いますが、わかめにも100gあたり17.6gのタンパク質が含まれています。
〇ケラチンの合成に不可欠な亜鉛
食事で摂取したタンパク質は体内で一度アミノ酸に分解された後、ケラチンになります。体内でアミノ酸からケラチンを合成するのに必要な栄養素が亜鉛で、亜鉛が不足するとケラチンが合成できず髪の毛の生成が滞ります。
他にも、亜鉛はAGA発症の原因となる「ジヒドロテストステロン(DHT)」を生成する要因の一つである「5αリダクターゼ」を抑制する効果も期待できるとされています。わかめにおける亜鉛の含有量は100gあたり5.2gとされており、これらの効果を通して髪の毛の生成をサポートする効果が期待できます。
〇髪の毛の成長を促進するビタミン類
わかめにはビタミンA、ビタミンK、ビタミンB2、ビタミンB6、ビオチンなどのビタミン類も豊富に含まれており、それぞれが髪の毛の成長をサポートしています。
例えば、ビタミンAやビオチンなどは健康的な頭皮環境の維持をサポートする効果が期待できます。また、ビタミンB2やB6は免疫機能や脂質の代謝に関わっており、頭皮環境の悪化や抜け毛を防ぐためにも有用だとされています。
髪の毛にはわかめだけではなくバランスの良い食事が重要
わかめはたくさんの栄養素を含む食材ではありますが、わかめを食べるだけでは健康的な髪の毛を維持することはできません。健康的な髪の毛を維持するためには、さまざまな食材からバランスよく栄養を摂取することが大切です。
前述した「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン類」は栄養素の中でも特に髪の毛の成長に欠かせないとされています。これらの栄養素がわかめ以外のどのような食材に含まれているのかみていきましょう。
たんぱく質を多く含む食材
タンパク質は肉類や魚介類、豆類、卵などに多く含まれています。肉類や魚介類など動物由来のタンパク質を「動物性タンパク質」、豆類など植物由来のタンパク質を「植物性タンパク質」と呼びます。このうち、動物性タンパク質の方が良質なタンパク質を含む食材が多いといわれています。しかし、肉類や魚介類は脂質を多く含むため、植物性タンパク質からもバランスよく摂取することが大切です。
タンパク質の1日の推奨摂取量は男性の場合18〜64歳で65g、65〜74歳で60g、女性の場合18歳以上で50g とされています。
食品名 | 成分量/100gあたり |
---|---|
ぶた/ゼラチン | 87.6g |
鶏卵/卵白/乾燥卵白 | 86.5g |
牛乳及び乳製品/カゼイン | 86.2g |
さめ類/ふかひれ | 83.9g |
大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分無調整タイプ | 79.1g |
かつお節 | 77.1g |
亜鉛を多く含む食材
亜鉛は牡蠣や豚レバー、牛赤身肉などに多く含まれ、他にも豆類、ナッツ類、全粒穀類や乳製品からもある程度の亜鉛が摂取できます。亜鉛は体内での吸収率がそれほど高くないため、亜鉛の吸収をサポートする「クエン酸」や「ビタミンC」などと一緒に摂取するのがおすすめです。一方で、食物繊維や食品添加物などは亜鉛の吸収を妨げる恐れがあるため、食べ合わせには気をつけましょう。
また亜鉛をサプリメントから摂取する場合は過剰摂取に注意が必要です。1日の推奨摂取量は成人男性で11mg、成人女性で9mgとされていますが、過剰摂取すると銅や鉄の吸収が妨げられ銅欠乏や鉄欠乏が起こる可能性があります。
食品名 | 成分量/100gあたり |
---|---|
かき/くん製油漬缶詰 | 25.0mg |
こむぎ/小麦はいが | 16.0mg |
かつお類/塩辛 | 12.0mg |
ぼら/からすみ | 9.3mg |
うし/ビーフジャーキー | 8.8mg |
ぶた/スモークレバー | 78.7mg |
ビタミン類を多く含む食材
ビタミン類は人参やほうれん草などの緑黄色野菜をはじめ、レモンやいちごなどの果物に豊富に含まれています。なるべく多くの食材からさまざまな種類のビタミンを摂取することが好ましいですが、食事からの摂取が難しい場合はサプリメントを活用するのもよいでしょう。
1日あたりの推奨摂取量はビタミンの種類ごとに異なります。ビタミンAとビタミンEは過剰摂取によりめまいや頭痛などの症状が起こる可能性もあるため、サプリメントを使用する際は各ビタミンごとの推奨摂取量を目安に摂取することが大切です。
食品名 | 成分量100gあたり |
---|---|
酵母/パン酵母/乾燥 | ビオチン 310.0μg |
きのこ類/まいたけ | ビオチン 240.0μg |
鮭・ます類/しろさけ | ビタミンB2 6.38mg |
ぶた/スモークレバー | ビタミンB2 5.17mg |
唐辛子 | ビタミンB6 3.81mg |
アセロラ | ビタミンC 1700mg |
ピーマン | ビタミンC 200mg |
バランスの良い食事は薄毛や抜け毛の予防になる
タンパク質や亜鉛、ビタミン類は髪の毛の生成に良い栄養素としてご紹介しましたが、基本的には色々な栄養素をバランスよく摂取することが薄毛や抜け毛予防に繋がります。「ヘルシーだから野菜だけを食べる」「髪の毛に大切なタンパク質だけを食べる」という偏った食生活では逆効果。「主食」「主菜」「副菜」のバランスが取れた食事を心がけることが大切です。
しかしながら、主食・主菜・副菜の全ての栄養バランスがそろった食事を毎食摂取するのは難しい方も多いでしょう。そのような方は、“いつもの食事に足りないものをプラスする思考を持つ”という方法がおすすめです。例えば、おにぎりやパスタなど主食のみで済ませることが多い場合は汁物やサラダなど何か一品をプラスしてみましょう。
わかめでAGAや薄毛の改善は難しい
これまでご紹介したように、わかめにはたくさんの栄養素が含まれていますが、わかめだけでAGAや薄毛を改善するのは難しいでしょう。もし薄毛の原因がAGAである場合は、投薬治療など専門的な治療が必要になります。AGAの主な原因は「男性ホルモン」だと考えられているため、残念ながら食生活を改善するだけでは対策として十分とはいえません。
《AGAの原因について詳しくはこちらもご参照ください》
AGA(男性型脱毛症)とは? 原因や治療薬、治療法まで徹底解説AGAや薄毛の根本的な解決は専門のクリニックへ
わかめを食べれば髪の毛が生えるという話には医学的根拠はありません。もちろん、食生活を整えることは薄毛や抜け毛予防の観点から見ても大切です。しかし、本格的に薄毛を改善したいのならば、正しい原因を知り、正しい対策を行う必要があります。
「食生活に気をつけてもなかなか薄毛が改善しない」という方は一度、薄毛治療専門クリニックを受診することをおすすめします。薄毛の原因はAGAやその他の疾患である可能性もあり、正しい原因を知ることが改善への第一歩となります。AGAヘアクリニックでは診察やカウンセリングは何度でも無料で行っております。ぜひお気軽にご相談ください。
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